一時間前
「ごめんなさい!」
海に出て、手作り風のイカダに乗せられ連れて来られた場所は、満潮時には水没するんじゃないかと思われる断崖絶壁にできた裂け目から入る洞窟だった。外は潮の流れが激しくて担がれたままでもドレスが濡れないようにするのが大変だったけど、洞窟の中の水面は湖のように静かで、光が差し込むたびに緑色に輝く神秘的な場所だった。
しばらく進むと岩の上に登れるようになっていて、イカダを降りて岩を少年達が登るとなんとそこにはジャ◯ーズJr.ばりの日本人的美少年、国民的アイドル的美少女がひしめいていた!
そしてやっと地面に降ろされ、そんな子供達に一斉に土下座されている←イマココ
「えっとー、ここには大人の人はいないのかな? 代表者というかまとめ役とかリーダー的な人は……」
「僕です。あおいです。僕が計画犯です」
教会ではじめに声を掛けてきた小学一年生が、土下座状態から手だけ挙げている。
「僕、てんせいしゃっていうので、こことは違う前世の記憶があって……」
こんなところでお仲間発見!
「あ、大丈夫! わかるわかる! 私もだよー! 元日本人!」
「花よめさんも!? じゃ、じゃあ僕らのこと気持ち悪くないですか? 大丈夫ですか?」
「? もちろん! 今の状況が全くわからないから、みんな土下座なんてやめて楽にして普通にお話し聞かせて欲しいよ」
「……気持ち悪くならないですか?」
「顔を気にしてるの? さっきからちょいちょい見てるけど何が問題かわからないよー」
みんな薄いけど非常に整った顔立ちしてるよ! おねーさんのストライクゾーン狙い撃ちだよ! もっと自信持ってこ?
恐る恐る顔をあげ、本当に私に変化がないのが分かると思い思い安堵の表情を浮かべる。
「あの、僕たち親がクラス転移でやってきた転移者の子供みたいなんですが、人種が違うからか迫害されていまして、ここに隠れ住んでいたんです」
詳しく話を聞くと人のいる場所にいくと生活できないので、ここで素潜りして貝を取ったり、魚や海藻を取って食べたりして生活していたんだって。転移者特典なのか、両親達はとてもお腹も体も丈夫で、その血を継いだ子達も身体能力に優れているから岩場も激流も問題なく暮らしていけてたらしい。
でも、何年か前に突如大人が光に包まれて消えてしまって、それからはあおいくんが中心となってなんとかやってきたらしい。たぶん、消え方が神がかっていたから両親達は元の世界に帰ったんじゃないかって話だよ。
「僕たちここを追い出されたら行けるところがないんです。でも、油田が見つかって開発が始まるってきいて……人が集まってきたら僕たちまた迫害されてここから出ていかなきゃいけなくなる。お願いです。開発を止めてもらえないでしょうか……?」
ゆ、油田!? 油田ってあの石油王とか大金持ちのあれのことですか!? 私なにも聞いてないんですけど!!?
「ごめんね。全然全くこれっぽっちも油田の話聞いてなくてわからないの……」
毒薬没収してからはあんなに一緒にいたのにちょっと凹む。さては私が寝入ってからまだ仕事してたな。アロイス様。そう言えば私アロイス様の寝顔、寝起きドッキリの時しか見たことない! 朝起きるといつも至近距離で見られてるし、寝る時だって同じだし! アロイス様本当に寝てるんだろうか……心配だ……
「そうなんですか……でも、新しい領主様は花嫁さんを溺愛してるって聞いたので、なんとか頼んでもらえないでしょうか……?」
「うん! 頼むのはいいよー! あ、でも、本当に油田が見つかって開発をはじめるならそれを止めることは出来ないかも……」
「そうなんですね……」
みんなとっても悲しそう。どうにかしてあげたいけど……
「そうだ! みんな行くところがないなら、私とアロイス様の養子になればいいよ! 今日結婚したら夫婦になって、養子取り放題だよー! なんとかなるなる!」
私の提案に子供達は目を白黒させている。ツッコミは不在だ。アロイス様が恋しくなる。
「何にしても一度教会に帰してもらってもいいかな? 今日これから結婚式でアロイス様が心配してると思うから!」
「……ごめんなさい。護衛がいなくなる時が中々なくて大事な時につれて来てしまって……」
あおいくんが捨てられた犬のようにしょんぼりしている。励まさなくては!
「うんうん! 大事にならないうちにぱっと帰してくれれば、きっとなんとかなるからねー!」
「……ミーシェ……随分仲良くなったみたいだね……」




