おしまい
そんな不吉なことを言っていたからか、アロイス様は今ベッドから起き上がれないくらい衰弱し、死の淵にいる。
「アロイス様……今更言ってもなんですが……異界には言霊っていう言葉がありまして……」
「うん。ミーシェは物知りだね」
私のこと何でも褒める性格正した方がいいと思う。今更だけど……
「アロイス様。約束しましたよ? 私より長生きするって言いましたよ……」
穏やかに目を細めていつものセリフをいう。
「ごめんね。ミーシェ」
「許しません! まだ間に合います。死なないで……」
「ミーシェ。僕の最愛。僕の人生は幸福だった。君という幸せがいつも隣にいてくれたから」
「ばかばかばかばか。なんで過去形で言うんですか。まだ一緒にいますよ!」
「そうだね。僕の魂はいつも貴方のそばに」
いれたらいいのにな——
そう言い残して逝ってしまった。
☆
「——って言う夢を見たんですっ! だからもう本当に死にネタ禁止っ! 絶対死ぬなんて言わないで下さいっ!」
起きるなり、沢山の涙を流してミーシェが僕を責める。
「ミーシェ。夢だよ。大丈夫」
慰めるけれど、余程ショックだったのか涙は止まらない。
僕がいなくなることを夢に見ただけなのにこんなに悲しんでくれるミーシェは控えめに言って天使だ。朝の光を浴びて首を振った為に散った涙が彼女の髪と一緒にキラキラ光る。やっぱり女神だ。
「ミーシェ。僕は生きてるよ ほら、よく見て? 君が好きだって言ってくれた顔を」
ミーシェが認めてくれたから、今では自分の顔も嫌いじゃない。ミーシェと繋げてくれた僕の大切な一部だ。
じっと見つめて、体調に変化がないか窺ってくれてるミーシェは、その行動がどれだけ僕をつけ上がらせるか知らないのだろう。僕の生を望んでくれている喜びに包まれる。
涙の止まった目尻を拭って、キスを贈る。大丈夫。大丈夫と安心させるように何度でも。落ち着いた彼女は強く確かめるように抱きついてくる。どうしてこんなに気持ちをくれるのか。いつも不思議に思う。腹の底に沈めていた氷はいつの間にか粉々になって溶けていた。感じるのは貴方の温もりと新しい微かな息吹だけだ。
そこには幸福が詰まっている。
おしまい!
ここまで辿り着けたのはアクセス数として目に見えて読んで下さる方がいて、なんらかの(星さんとかいいねとか感想とかブックマークとか)アクションをいただけたから。
もうちょっと考えてみよう。書いてみようと思えて、本当に有り難かったです。ありがとうございました!




