ご実家で
「初めまして」
「ようこそ」
玄関先で並んで迎えてくれたアロイス様の両親とお兄さんはすごーーーく濃い顔をしていた。何でここから塩顔が?
すぐに応接室に通され、ソファーでお茶をいただいた。
私の父の制裁のせいか皆さんちょっとどころではなく憔悴しているように見受けられる。
「貴方がミーシェルさん……こんなにお美しい方だったなんて……」
アロイス様のお母さんがなんか言ってる。
「まさか。ここまで美しいなら傷なんてなんの問題もないっ! ……傷物なんて俺は酷い言葉を……」
なんかショックを受けたようなお兄さん。まぁ、実際は傷もないんですけど。
「どうしてこんな美姫が……アロイスなんて醜男と……」
何なん? アロイス様のご家族ってみんな顔面命なの?
確かに私の顔は濃い。濃ければ美しいこの世界では私は相当の美人なんだろうけど、ねぇ……?
「今からでも遅くない。是非、この長男と縁を結び直さないか?」
「そうよ! 是非この伯爵領を一緒に盛り上げてくれない?」
「是非、姫。愚かな俺の言葉を許してくれないか? そして一緒になって欲しい」
私の隣に密着して着席しているアロイス様が見えないのだろうか?
不思議なご家族だ。
「私、アロイス様の顔が好きなんです」
ご家族みんな息を呑んだ。
「アロイス様の高低の目立ちすぎない骨格も落ち着いた色彩も適度なまつ毛もふわっふわの薄い唇もすらっとした筋肉質過ぎない背格好も。髭が生えないところも。全部。全部。大好きなんです」
「お兄さんの彫りの深い特に高すぎる鼻は私からすれば目立ちすぎるし、大きな瞳とバサバサのまつ毛はとある動物を思い出してしまうし、セクシーとも言えるのかもしれない分厚い唇も好みから外れていますし……」
もちろん速攻でごめんなさいした。アロイス様にカミングアウトした私にもはや死角はない。いくらでも好きなだけアロイス様の魅力をこんこんとふりつもる雪のように静かに語り続けた。三時間は語った。すっきりした。
「——そんなわけで、アロイス様以外ありえないんです。無理なんです。アロイス様が大好きなんで、愛してるんで、離れるなんてもってのほかですし。価値観は変えることができないのです」
話の最後にもダメ押しにもう一度ごめんなさいした。
長過ぎたのか、アロイス様もアロイス様のご家族もみんな言葉がない。
まぁ、伝わったのならいいよね。それより聞きたいことがある。




