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無幻の旅と黄昏の日記  作者: ふみりえ
1/1

第1話 旅

「輪、起きなさーい!」

 声がし、眩しい光が入ってきた。

 重々しい瞼を開き、声の主を見つめる。

「おはよう、ミア」

 ミアと言う名前の女性は赤く、長い髪の毛をなびかせ、ニコッと笑い、

「おはよう」

 と言った。

「さあさあ、朝ごはんの準備できてるよ。フーも起きてるから、急いで」

 布団から起き上がり、ミアと一緒にリビングへ向かう。

 そこには3人分のご飯が用意されており、1つの席には既に人が座っていた。

「おはよう!輪」

 と、満面の笑みで朝の挨拶をしたのは、髪の色が白く、黄色の瞳をした男、フーだった。

「おはよう、フー。お前ら今日はどうしたんだ?やけにテンションが高いじゃないか」

 それを聞くと、2人は 何言ってんだこいつ という顔をし、

「そんなの決まってるじゃん。」

「今日は待ちに待った、旅に出る日なんだから!」

 あぁ、そういえばそうだ

 今日は前から約束していた色々な場所に旅をする日だった。

 俺たちはある戦いが終わり、それぞれ元の住んでいる場所に戻り、日常をすごしていた。

 ある日、ミアが色々な場所に旅をしたいと言い出し、あまりそういうことはしてこなかったので、いい機会だと思い、賛成した。

 俺とミアが食卓に座り、3人でいただきますといい、目の前にある食事を食べる。

「どぉどぉ?おいしい?」

 ミアの顔が迫りながら何度もそう聞かれ、

「美味しいよ、ミア。前より上手くなったんじゃないか?」

「輪の言う通りだよ、すごく美味しいよ」

 俺とフーがそう言うと、ミアは自慢げな顔をしながら、目の前にある自分の分もご飯を食べる。

「今日はどこから行こうか?」

 朝ごはんを食べながらフーが俺らにそう聞き、

「とりあえず、適当の方向に飛んでみて、街を見つけたらそこに降りないか?」

 と俺は答えた。

 フーとミアも同意し、2人は俺にご飯と味噌汁のおかわりを頼んだ。

「普通盛りで」

「僕も」

 言われた通り、大盛りにし、2人に渡すと、2人はありがとうと言い、おかずと一緒にご飯を食べる。



「ご馳走様でした」

 ご飯を食べ終わり、皿の片付けと洗濯物を終え、何か忘れたことはないかと家の中を見て周り、旅の支度をした。


「それじゃ、行こうか!」

 俺はマフラーを巻き、玄関の鍵を閉め、3人で空へ飛ぶ。

「あっちにしよう!」

 ミアが指さした方向に飛んでいき周りの景色を見ていた。

「フーフー!見て見て!イルカが泳いでる!」

 海を見ると、イルカが数匹泳いでいて、俺たちは空から海へ近づいた。

「可愛い〜。ねぇねぇ、このイルカ一匹飼いたい!」

「ダメに決まってるでしょ、買う場所もないのに。」

 ミアは顔をプクーと膨らませ、フーを見ていたが、しばらく経つと諦めたのかイルカにさよならと言い、俺たちはまた上空に飛んだ。

「あ!島だよ!」

 フーがそう言い、北の方向を指さすと、大きな島が見えてきた。

「まずはあそこに行ってみるか!」

「わーい島だー!」

 俺たちは人気のない場所で降り、街に向かって歩き出した。




「わー!ねぇ輪、ミア!お祭りだよお祭り!」

 フーが騒ぎながらひとつの屋台に走っていき、俺達もフーを追いかけた。

「お!兄ちゃん買うかい?一つ100キアだよ!」

「買う買う!おじさん、3つちょうだい!」

 フーは屋台の人から3つの串揚げを貰い、やっと追いついた俺たちに1本ずつ手渡した。

「旅に出て最初の食事だよ!いただきまーす!」

「「いただきまーす」」

 3人一斉にかぶりつき、揚げ物のサクッと言う音を立てながら、食べていった。

「うんまーい!」

「本当、おいしい!」

「うまうま!」

 俺たちはすぐに食べ終わると、次の屋台に走っていった。

「これなに?」

 フーとミアが見ていたのは、ひとつの機械にザラメをいれ、そこからふわふわの糸が沢山出てきて、それを棒に巻き付けるものだった。

「これはわたあめって言うんだよ。甘くて美味しいぞ。」

 俺がそう言うと、2人は目を輝かせ、3人分買った。

「見た目はふわふわそうなのに噛みごたえあって良い!」

「甘ーい!輪も食べて食べて!」

「食べてるよ、あ、2人とも口の周りべちゃべちゃだぞ。」

 2人はキョトンした顔をし、お互いの顔を見ると、べちゃべちゃな顔を見て笑った。




「ふきふき」

 2人の顔を吹き、次はどれを食べようかと相談していると、街の中央から大歓声が上がった。

「なになに?お祭りのメインイベント?」

「行ってみよう!」

 俺たちが街の中央広場に行くと、広場では一つの土台の上に3人の女性が衣装を着て、踊っていた。

 周りの人達は彼女らの踊りに合わせて手合わせをしたり、歓声を上げていたり、日本でいうオタ芸をしてる人もいた。

「アイドルだよアイドル!すごい、ほんとにいたんだ。輪は嘘つきじゃなかったんだ!」

 2人はアイドルを見たのは初めてで、俺の口からしか聞いたことがなかったので、とても興奮していた。

「みーんなー!今日は私たちのライブに来てくれて、ありがとう!まだまだいくから、盛り上げていってねー!」

 中央にいるアイドルがそう言うと、今までよりも大きい歓声が上がった。

(久しぶりにライブなんて見たなぁ。前に見たのもテレビでだったし。)

「輪、次どこ行く?」

「あ、俺まだコレ見てるわ。」

 フーとミアが歩いてくのを見ると、俺は視線をアイドルたちに戻した。




 僕達は輪と別れたあと、次々と屋台の料理を買い込んで行った。

「フー!次あそこ行こう!」

 ミアは手ぶらで次の店へ行こうとしたが、僕はそれを引き止めた。

「とりあえず、まず僕が持ってるこの食べ物を先に食べない?」

 そう、ミアと輪の分も僕が全て持っていたので、重くて重くて次の分は持てそうになかった。

 空いているベンチに座り、輪の分を時空収納に入れると、僕とミアは直ぐに自分の分の食べ物を食べていった。

「これおしー!うまいうまい!」

 僕がまず手に取ったのは肉1枚をレタスとソースとパンで挟んだハンバーガー。

 ミアが手に取ったのは、お肉1本を丸ごと串に指したウィンナーソーセージ。

 僕達は一緒に口を大きく開け、ハンバーガーとウィンナーソーセージを齧る。

「はふはふっ、うんみゃいはふはふっ。」

 見るからに暑そうなウィンナーソーセージをミアは豪快に口に入れ、暑そうにしていたが、やがて入れたひと口を飲み込むと、すぐに二口目を口に入れる。

 僕はそんな光景をしばらく見ていると、それに気づいたミアがいきなり

「隙あり!」

 と言い、僕のハンバーガーをひと口食べた。

「あっずるい、じゃあ僕も!」

 僕はミアが持っているウィンナーソーセージを一口はふはふと齧り、飲み込む。

「美味しい!ウィンナーソーセージ、初めて食べたけど美味しい!」

「ハンバーガーも美味しい〜。毎日食べたいくらい!」

 次に食べ始めたのは焼きとうもろこし。

 焼いたとうもろこしに醤油を付けたもの。

「ガブリ」

 とうもろこしを噛んだ瞬間、甘みが口の中に広がり、コーン一つ一つを噛む度にさらに甘みが広がる。

「もぐもぐ、もぐもぐ。」

「もぐもぐ、もぐもぐゴックン。」

 食べている間、一言も喋らず初めて食べる焼きとうもろこしを夢中に食べる。

「もぐもぐ、はっ!?もうない!」

「僕のもない!」

 僕達は残念そうな顔をし、次の食べ物にかぶりつく。

「はぁ、焼きとうもろこし、もっと食べたうんまー!!」

「もう、大袈裟だよミア。さっき食べた焼きとうもろこしより美味いものなんてもうこの世にはうんまーーい!!」

 僕達が次に食べ始めたのはコップ1杯分の串揚げとは違う、唐揚げという食べ物だった。

「もぐもぐ、おいしいおいしいもぐもぐ。」

「もぐもぐ、もぐもぐ。」

 ふと、隣のミアの顔を見ると、口の周りに唐揚げのカスがちょっぴり付いていて笑った。

 それに気づいたミアが僕の顔を見ると、ミアも笑いだした。

 お互いに自分の顔を鏡で見ると、僕の口の周りも唐揚げのカスが付いていた。

「フー!次はあそこ行こう!」

 手元に持っていた食べ物を全て食べ終わると、僕はミアに手を引っ張られながら一緒に走っていった。

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