据え膳食わぬは男の恥かどうかは状況による
「ユウ、続き……は?」
クイと袖を引かれて催促、いやおねだりしてくるリゼルーナに正直続きをしたくなる煩悩の悪魔が頭の中で背中を押してくるのを実年齢が分かり理性の天使が羽交いして止める。
「くっ!い、いや、俺はロリコンじゃないから!」
グイと身体を引き離す。かろうじて天使が勝ったようだ。
「むっ、ユウってヘタレなの?」
「グサリと男のプライドをぶっ刺す台詞を言うのはやめろ!いいか!俺の故郷じゃ18歳以下に手を出すのは犯罪だし変態なんだ!だから、俺はロリコンじゃないし、ヘタレでもない!分かったか!?」
「えー、後7年も待つのは嫌なんだけど。別にバレなきゃいいじゃんか。それとも、そんなにボクって……魅力ない?」
魅力ありすぎるから困ってるんだよ!悪魔復活するんじゃない!頑張れ天使!
「だ、だいたい、何でそんなにグイグイくるんだ?」
おのれマセガキめ!せめて、年齢相応の身体なら冷静に対処できるのに!
「愛してる人と肌を重ねるのに理由って必要?」
「ぐふっ!」
キリリと凛々しく言われた台詞に心臓がドキドキと、いや不整脈が起こる。
「あ、愛してる、とか……俺は、別にイケメンでも、ないだろうが……」
「イケメンの意味はよく分からないけど、ユウはカッコイイよ?出会ったばかりのボクを助けようとしたり、好きにしていいよって言ってるのに手を出さないように必死に耐えてる所とか可愛いって思うよ」
「誰が必死に耐えてるって言ったんだ!?誤解を招く発言はやめろ!」
「あれ?もしかして、気づいてないの?」
「は?何がだ?」
「さっきからボクの質問に答えずにはぐらかしてるけど?」
そう笑うリゼルーナに俺は反論しようと口を開けようとしたが、リゼルーナが俺の口を右手の人差し指で押さえて閉ざし、左手で俺を押し倒し、跨り顎をクイと持ち上げる。
「ーー決めた。抱いて下さいと言わせてあげるから」
…………自称女神か本当の神様。何故、こんなイケメンなロリがいるんですか?
これから始まる日々に頭を抱えたくなった。
パチパチと魚を焼きつつ焚き火で俺達は暖を取る。
リゼルーナがアイテムボックスに保有していた着れそうなサイズのシャツとズボンを出してもらい着替えてる俺にリゼルーナは少し待っててねと水中に潜り両手に魚を掴み帰ってきた。
枯れた枝を集めて着火できる魔道具と呼ばれている魔石を利用する道具で火をつけたリゼルーナは温まっててねと俺に言ってから同じくアイテムボックスから野営用のテントを取り出し手早く設置した。
……俺、ロリのヒモになってないか?い、いや今だけだ!ま、街に行ったら俺だって活躍できる筈!
「お待たせユウ。そろそろ焼けたから食べようか」
「あ、あぁ……分かった。じゃあ、いただきます」
と、まずは食べるか。言われてみたら、お腹が空いていることに気付いた俺は手を合わせて言う。
「イタ、ダキマ、ス?」
「あ?あぁ、俺の故郷で食事前に言う挨拶で確か、作ってくれた人への感謝と食材となってくれた物に対する感謝だったか?まぁ、そんな風習だと思ってくれたらいいぞ」
「へー!それはいい風習だね!じゃあ、いた、だきます!」
真似するように挨拶をしたリゼルーナは両手に魚をぶっ刺していた棒を掴み豪快に食べ始める。
俺も同じく魚に齧りつく。
パリと皮の香ばしさと脂の旨味が口の中で広がる。
そういや、こうやって一人で食べる食事は久々だな。いただきますなんてここ数年は言った記憶すらない。
新しい着替えに、美味い食事と休めるスペースもあり不満はない。一つを除いてな……。
「なんで、お前はそんな格好をしてやがるんだ!?」
「ん?ふぁに?」
ブカブカのシャツだけを着た口の中に魚いっぱい詰めたままのリゼルーナが口を開く。
可愛いな畜生め!