表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うさぎの里  作者: かに
7/8

だい7羽 兎兎海大海戦

挿絵(By みてみん)

兎兎海ううかい、それはうさぎの里に存在する内海のことです。

兎兎海には海の幸が存在しますが、うさぎたちの好物はバナナとチーズと焼きそば(たまにアイス)のため海は未開拓でした。


ある日のこと、海沿いを散歩していたうさぎが不審な影を海上に見つけました。

「あ、あれはなんずらーー!?」

突如おおきな船の集団が兎兎海に領海侵犯してきたのです!

「あわわわわ、て、てーへんだに!!」

うさぎはあわてて、脱兎のごとく首都のうさタウンに逃げ込みました。


首都うさタウンの郊外にあるガースル研究所。

うさぎ種族一の天才といわれるミミ・ガースル博士の拠点です。

不審船の知らせは、すぐさまガースル博士の耳に届きました。


「これは、かに連合艦隊じゃな」

うさぎたちから寄せられた情報をもとに、ガースル博士はさらに分析を進めました。

「旗艦ズワイガニを中心とした二隻の戦艦とそれを守るように駆逐艦毛ガニ、護衛艦シオマネキ、潜水艦タカアシガニで構成されとるようじゃ」

それを聞いたうさぎたちは、どうすればよいかをガースル博士に尋ねました。

「うむ、うさファルコンを使うしかあるまい」


うさファルコンとは、ガースル博士が開発したうさぎ専用の戦闘機です。

うさロケットパンチという誘導弾を二発搭載している航空戦力なのです。

しかし、空戦には大量の燃料を消費する。

艦隊を相手にするには航続距離の問題が出てきたのでした。

そこで、ガースル博士はとっておきの兵器をここで使うことを決断しました。


「うさ空母、発進じゃ!!」

うさ空母とは、うさファルコンの発着陸、整備・補給の運用が可能な航空母艦でした。

うさぎの里の予算をふんだんにつぎ込んで開発された虎の子の一隻です。

空母のカタパルトでは、赤と青の旗を持ったうさぎが、必死に手旗信号を送っています。

うさぎの中でも選ばれたエリートたちが、次々とうさファルコンに乗り込み発進していきます。


うさぎ歴236年、ついにうさぎ史上初の海上決戦の幕が切って落とされたのです。


「うさロケットぱーんち!!」

うさファルコンから放たれた誘導弾が戦艦タラバガニを直撃し、船体から二百匹を超える大量のカニが海に投げ出されました。

「ぶくぶくぶく……」

カニたちは泡を吹いて海の底に沈んでいきます。

「しょせん、タラバガニはヤドカリっち。カニみそつめて出直してこいうさー!!」

うさファルコンから勝利宣言の声が響きます。


しかし油断したのか、旗艦ズワイガニから放たれた砲弾がうさファルコン一機に直撃してしまいました。

「やーらーれーたーうさ!」

海に真っ逆さま、墜落するうさファルコン。

中からわちゃわちゃと10匹のうさぎが海上に投げ出されれます。

「お、おぼれるー!」

「いま助けるぞー!」

と、そこに援軍のカエルさんたちが蓮の葉に乗ってやってきました。

溺れるうさぎたちを懸命に引き上げます。

「た、助かっただにー! ありがとうさー!」

そして、空に流星のような二筋の光がキラリと走ります。

「あ、あれはっ!?」

すさまじいスピードでオレンジと緑のカラーリングをしたうさファルコンがかに連合艦隊に向かって急降下していきます。


緑のうさファルコンはシスターファルコン、またはお助けファルコンと呼ばれうさぎたちがピンチのときにどこからともなく颯爽とやってきて、助けてくれると言い伝えられています。

また、オレンジのうさファルコンはエースファルコンと呼ばれ、うさぎ種族一番の飛行機乗り、エースパイロットのうさエースが乗っているとうさ英雄伝では綴られています。


「あの腹に抱えているのは……魚雷ずら!」

うさぎたちが、蓮の上からシスターファルコンとエースファルコンの装備がうさロケットパンチではなく、雷撃仕様だと目視しました。

二機はそのままかに艦隊の弾幕をかいくぐるように、海面すれすれを飛行し魚雷を切り離しました。

着水した魚雷は、そのまま旗艦ズワイガニに直進しやがて轟音を立てて大爆発を引き起こしたのです。

旗艦ズワイガニが転覆し、海に沈んでいきます。

かに連合艦隊壊滅の瞬間です。


こうして、かに連合艦隊とうさ空母の海戦は決着したのでした。

「ありがとう、シスターファルコン! エースファルコン!」

二機を見送るように、うさぎたちが空に向かい両手を広げました。

やがて、うさ空母は戦勝記念館として兎兎海に展示されることとなります。



そして現代。

うさぎたちは人里にはめったに姿を現さなくなったといいます。

でも、うさぎたちは人間には見えない場所で、逞しく今も生きているのです。

『どうか、そんなうさぎたちの姿を時折でいいから思い出してください』

そううさぎ研究家は語りました。

「うー!」



おしまい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ