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うさぎの里  作者: かに
2/8

だい2羽 お餅作戦

挿絵(By みてみん)

「うちゃ、ぺっ、うちゃ、ぺっ、うちゃ、ぺっ」

うさぎ用の小さい槌と臼で、うさぎたちが二羽一組でぺったんぺったんとリズミカルにお餅をつきます。

人間にもうさぎたちは普段から餅をついていることで知られていますね。

もちろん、うさぎの里のうさぎたちも例外ではありません。


お餅作戦とは、お餅をいっぱいついてそれをマタギに差し出し、満足してお帰りいただこうというというものです。


「まだまだ! もっと沢山作るのよ!」

うさママがはっぱをかけ、もっと餅をたくさん作るように言いいました。

「ううう~~うさうさーーー!」

「うさぎそいやー!」


うさぎたちが気合の声をあげ、餅つきスピードを加速させます。

「うちゃ、ぺっ! うちゃ、ぺっ! うちゃ、ぺっ!」

先程の1.5倍速で働くうさぎたち。

「うちゃ、ぺっ! うちゃ、ぺっ! うちゃ、ぺっ!」

「うちゃ、ぺっ! うちゃ、ぺっ! うちゃ、ぺっ!」

「うちゃ、ぺっ! うちゃ、ぺっ! うちゃ、ぺっ……あーーーっ!!」

どこかの組から、悲鳴のようなものが聞こえました。

ごくまれにお手てを槌に挟まれるうさぎが現れます。

業務上過失傷害とでもいうのでしょうか。


そうこうしているうちに、たくさんのお餅が出来上がりました。

「やったずらーーー!!」

「わーい! わーい!」

うさぎたちは、ぴょんこぴょんこと跳ねて喜びました。


「さて、このお餅をマタギに差し出してくるんだよ。おまえたち」

うさママがそういうと、うさぎたちみな死んだふりをしてひっくり返りました。



その頃、マタギはうさタウンから少し離れた川辺で岩に腰を落とし休憩していました。

その足元を沢蟹がシャカシャカと駆けていきます。

マタギは沢蟹をみて、これはまずそうだと思い視線を外しました。


そこへ、お餅をたくさん抱えたうさぎたちが姿を現しました。

「こ、これをどうぞ!!」

体を震わせながら、うさぎたちがマタギに作りたてのお餅を差し出します。

「小さい餅じゃのう」

それもそのはず、うさぎサイズの槌と臼とお手てで作られたお餅は、大きくても現代でいうと500円玉ほどの大きさしかなかったのです。


「ち、小さくてもたくさんありますから!! どうぞどうぞ!」

うさぎたちは青ざめながらも、必死にお餅を推していくスタイルを貫きます。

「うさぎの肉のほうがうまそうじゃのう」

マタギがそういうと、うさぎたちは畑から持ち出した野菜も並べました。

「取れたての玉葱と人参もつけますから、どうぞどうぞどうぞ!!」

うさぎたちは必死に食べ物をマタギに差し出します。


マタギは少し考えたのち

「うーん、まぁこれでもいいか」

マタギはうさぎたちのお餅と野菜を受け取ると、満足したように里を出ていきました。


「うさママー! 成功したずらー!!」

うさタウンへ戻ったうさぎたちはうさママを取り囲んで、嬉しさのあまり飛び跳ねます。

「よしよし、よくやりました。マタギ対策はこれでばっちりでしょう」

うさママは笑みを浮かべて、勇敢なうさぎたちの頭をなでて回りました。


その夜、うさタウンでは夜通しうさぎたちの狂喜乱舞の踊りがつづきましたとさ。

めでたし、めでたし。

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