だい1羽 マタギ襲来
むかしむかしの遠いむかし。
ある山に『うさぎの里』がありました。
うさぎの里には、たくさんのうさぎたちが自由気ままに暮らしていました。
里は人目を忍んだひっそりとした場所にあり、外敵も滅多に来ないことからとても平和です。
沢には小さな沢蟹がシャカシャカと元気よく走っています。
畑はうさぎたちが大事に植えた人参や玉ネギ、ピーマンなどが育っていました。
ある時、森の奥から一匹のうさぎが慌ただしく駆け出してきました。
「た、大変だーーー!!」
なんだなんだと、農作業をしていたうさぎたちが集ってきます。
「に、人間がうさぎの里にやってきただにー!!」
「ええっ? どんなやつずら?」
「猟銃もってるだに!」
「ま、マタギだーーーーーー!!」
こりゃあ大変!
その場にいたうさぎたちがわーわーと蜘蛛の子を散らすように逃げていきます。
そんな中、額に傷がある一回りおおきなうさぎが畑の向こうからやってきました。
「ふん、情けねぇ」
「あ、あれはボスうさ!」
逃げ惑ううさぎの一匹が振り返り、ボスうさを見つめます。
それにつられてほかのうさぎたちもボスうさに視線移しました。
「この額の傷はなぁ、トンビを蹴りで撃退した時のやつだぜ」
といっても、たまたま後ろ足がクリティカルヒットしただけなのですが。
うさぎの攻撃手段は後ろ足キックしか存在しませんが、LUK値が高いためクリティカルが出やすいのです。
稀に9999ダメージをたたき出すうさぎもいるとかいないとか。
「また武勇伝語りだしたずら。もう100回は聞いたことがあるだに」
うさぎたちの大半は呆れ顔です。
ちなみにここのうさぎたちは語尾にだにやずらをつける風習があるのですが、それはうさぎの里地方における方言のひとつであるとうさぎ研究家は語ります。
なお、通常の人間にはうさぎの声は「うー」と「ぷー」しか聞こえないのが通説です。(ナキウサギなどを除く)
「マタギだろうがなんだろうが関係ねえ、この俺様が倒してやるわ!」
ボスうさが吠えます。
その時、ガサガサと茂みが音をたて、奥から銃を構えたマタギが姿を現しました。
マタギを見たボスうさは驚いて飛び上がり、真っ先にすたこらさっさととんずらしました。
「あいつ口だけずらーーー!!」
「もうだめだにーーー!!」
その様子をみたうさぎたちはボスうさの後を追うように逃げ出しました。
「どどど、どうしよううさー!?」
「うさうさうさうさー!!」
うさぎたちの首都、うさタウンでは速報を聞きつけたうさぎたちがパニックになっていました。
「ママー!! たすけてママー!!」
うさぎたちは、うさママと呼ばれるうさぎに助けを請いました。
うさママは母性愛あふれる、うさぎたちみんなのママです。
「よちよち」
うさママは怯えるうさぎたちの頭を撫でた後、こう告げました。
「お餅作戦でいきますよ!」
果たして、うさぎたちのお餅作戦とは!?