サラの経緯
団長たちが帰った後、サラは怒涛の一日を終えたと気が抜けてしまい寝てしまった。
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『えっ？私が王妃に？どうして？』
サラは父から聞かされたとき、動揺を隠せないでいた。15歳の貴族の令嬢がこぞって参加する王宮で行われるデビュタントに出席すらしておらず、社交界デビューもまだな結婚とは程遠いサラに結婚の申し込みが来たのだ。しかも、学園には在籍していたものの容姿も学力も魔力も異次元すぎて通っていなかったサラにだ。
『なんでも陛下が形だけのお飾りの王妃を欲しているらしい。』
サラは父の言っていることの意味が分かった。
社交界デビューもまだで学園にも行ったことがない。そこから嘘だらけのサラの人物像が出来上がったのは、深窓の令嬢でもあるサラも知っていた。噂の払拭を行おうとサラは試みたが多すぎる魔力を隠せるところまで魔力のコントロールが当時はできなかったのだ。両親は過保護すぎるほどに可愛がってくれて、結婚をせずともずっと面倒を見てやると言ってくれていたのでサラは気にしないことにしたのだ。
だが今回は国王直々の申し込みで王命ともとれる。断る選択肢などないのだ。
『サラが嫌なら断ってくれてもいい。』
父はそう言ってくれたが断ったら謀反と疑われるかもしれない。大好きな家族を守りたいサラは、王家に嫁ぐ決意をした。
『いいえ、お受けしますわ。陛下はあの噂通りの私がほしいのでしょう？でしたら、その噂通りの令嬢を作って見せましょう。お父様も私が変装を得意とするのをご存知でしょう？』
変装は鮮明に完成像をイメージする高度な魔法でたくさんの魔力も必要とする。
だが、サラは前世で魔法を使っている漫画やアニメを見たことがあるので、想像力豊かでイメージも容易い。それにサラの魔力は高いが、その量は無尽蔵とも言える。だからサラは魔法が得意で変装も、もちろん他の魔法も簡単にやってのける。そんななんでもできるサラを怖がらず、たくさんの愛情をくれる家族を守りたい。そうサラは思ったのだ。
『ありがとう。辛くなったらいつでも帰っておいで。』
そう言ってサラの父は頭を撫でてくれた。
サラは最後かもしれない父の温もりを寂しく思いながらも嬉しくてはにかんだ。
結婚のことを聞いた母は、大事な娘を嫁に出すのをあからさまに残念がっていたがサラが決意したのを踏みにじらないため何も言わずにただただ抱きしめてくれた。
サラは後継ぎのことが心配になったがそれのことについて両親は、養子を取るから何を心配しなくていいと言っていた。自分のことでいっぱいのはずなのに家の心配をしてくれるなんてと父が泣いてしまったのは、、3人だけの秘密…。
ちなみに忠誠心が強く、サラのことが大好きな公爵家の使用人たちはこのことを聞いて泣いて寂しがるものもいれば、我らがサラ様をお飾りとすることを許せず国王を殺してやると言っているものもいた。
結局はサラの説得と笑顔、お別れの抱擁に皆が陥落してしまった。
