side レオン
少し長いです
30歳にもなって側室どころか正妃さえいない国王陛下が結婚すると聞いて重鎮たちは踊り狂った。もちろん陛下の女嫌いを知っていた俺も嬉しかった。
だが迎え入れる方が令嬢として欠陥品とされているマドラータ公爵家のサラで、お飾りの王妃だと陛下が言っているのを聞いて俺は耳を疑った。
婚姻の儀当日、謁見の間にサラ様が到着なさった。
噂通りの方で私は気分が下がった。だが陛下の前でカーテシーをしているの見て私は驚いた。体型の割に軸がしっかりとしているのだ。足捌きが強さを示している。重鎮たちは全く気づいていなかった。
婚姻の儀が終わった後、魔法師団団長で幼馴染でもあるルイに話しかけられた。
「レオン、王妃様は魔力がないって言われていたよな?」
俺は何を言っているのか理解ができなかったが、ルイが教えてくれた。
「王妃様は魔力がないはずなのに、魔力を隠した隠蔽の跡があるんだ。」
俺はルイが言っていることがわかった気がした。
だから、さっき気づいたことをルイに説明した。2人で話した結果、あれは変装で噂が嘘だという結論に辿り着いた。仕事が終わった後、王妃様のいる離宮に行って確認しようと約束をしその場を去った。
6時過ぎに仕事が終わり2人で王妃宮に向かった。
侍従長がサロンに案内してくれて、侍女長が王妃を呼びに行った。明らかに焦りが見えていたが何も言わないことにした。
しばらくした後、謁見の間で見たまんまの王妃様が現れた。2人で礼をした。
「「ご機嫌麗しく、王妃様」」
「ご機嫌よう、こんな時間になんのようかしら?」
王妃様がしゃべられて、私たちは顔を上げ王妃様をじっと見た。
しばらく沈黙が続いたが、俺が話し始めた。
「王妃様、その格好は変装でいらっしゃいますね。」
王妃様に動揺の色が見られたがすぐに持ち直された。
そして殺気を飛ばしながらおしゃった。
「私を馬鹿にしていらっしゃるの?」
後ろの侍女たちの顔色が悪くなっていないことからこちらにだけ殺気を飛ばしていることがわかる。殺気を調節できることから王妃様の強さが伺える。一瞬怯んだがそれを隠し、続ける。
「お戯れを、変装をお解きください。」
王妃様は悪戯っ子のような笑みを浮かべて変装を解いた。
綺麗な金色の髪にブルーサファイアのような瞳をしていた。胸は少し小さいがスラッとしていて理想の女性だった。あまりの可愛さに俺たちは息を飲んだが王妃様が続けられた。後から聞いた話だが変装は高位の魔法で使う魔力も膨大だ。推測するに魔力の量はルイを上回る程だとルイが言っていた。
「どうしてわかったの?」
王妃様が尋ねられた。
俺たちは謁見の間でのことをそのまま話した。すると、目を見開いて驚いていらしゃった。そしてこのことは秘密にしてほしいと。
俺たちはこの絶好の機会を逃すわけにはいかないと微笑んで承知した。そして条件を出した。
団員たちの訓練をしてほしいと…
正直言って最近騎士たちの質が落ちている。それは魔法師団も同じらしい。王妃様は一ヶ月に一度の訓練だけで秘密にしてくれるならとすぐに条件をのまれた。俺たちは自分より強い人に会えた喜びと、訓練をつけてくれる嬉しさに内心舞い上がっていた。
後に俺たちがこの訓練で団員たちの屍が大量に出来上がると知るのはほんの少し先の話だ
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