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侍従と侍女の誓い

「王妃になったからといって思い上がるな。せいぜい離宮でその顔を見せることなくおとなしく過ごすんだな。」

サラは自分の本当の姿ではないとはいえ傷ついていた。

近衛騎士に離宮まで送られて騎士が帰るのを見送った後、サラは変装を解いて宮に入った。

「「「えっ」」」

(えっ？)サラは離宮にいる侍従と侍女のことをすっかり忘れていた。

すぐにまた魔法で変装をしようとするが無理だと判断する。侍従長がずんずんと近づいてきて言った。

「王妃様、ご説明いただけますか？」

「セ、セバス」

サラがおろおろしていると皆が驚いた顔になる。とりあえず準備をするべきだと思ったサラは侍女を呼んだ。

「マリーとリサ、準備を手伝って」

また皆が驚いた顔になって、今度は近くの人と話し始めた。

話し合いの中にはセバスも居て、話が終わったのかと思うと皆が一斉に跪いた。

そしてセバスが代表なのか言葉を発する。

「我々の雇い主は陛下ですが、仕えるべきお方は王妃様です。何があっても王妃様をお守りいたします。」

「ど、どういうこと？」

サラが混乱しているとセバスがまた話し始めた。

「侍従長や侍女長はともかく、侍女一人一人の名前を知っている高位貴族の方は今まで一度も見たことがございません。そんな中、王妃様だけは我々を個人として認識してくださった。誠心誠意仕えたいと皆が思っているのです。」

サラは日本という身分制度がない国で生まれ育ったため、身分関係なく、人は個人個人だと自然と認識していた。それが転生した国では珍しかったのかもしれないとサラは思った。国王に言われた言葉で傷ついた後だったが、皆が自分自身に仕えたいと言ってくれて嬉しくなっていた

のは数秒の間で、セバスがまた口を開く。

「さて、準備をせずとも侍従と侍女はここに全員集まっております。ご説明を」

サラは焦った。