受容するということ
流れる金髪が、収穫前の麦を連想させ、その年季の入った質素な衣が彼女の生活感を表す。
その少女は、白銀の狼に騎乗し、各地を旅している、と聞く。
彼女と戦ったことのある人間は、彼女ほどの剣士はいないというが、彼女は剣を持っていなかったという。
持っているものは生活に必要最低限のものが入った、小さなポーチのみ。
そのポーチの中には、一つの使い古されたレコーダーがあり、彼女の旅の記録はすべてそこに入っており、今でも旅の記録をそのレコーダーに吹き込んでいるらしい。
これは、そんな少女の物語。
『マリア、愛とは受け入れることである。 相手によって愛するか愛さないかではなく、相手がどんな人であれ受け入れるということが愛なのである。 受け入れなさい受容しなさい。 そうすればおのずと理解することができる。』
マリアは、手に持ったレコーダから流れる、その話をただその場にたたずんで聞いていた。
この言葉は、マリアを作った人間がマリアに残した言葉だ。
マリアは、その男によって作られた機械人形であり、その言葉は、その男がマリアに最後に残した言葉だった。
「ご主人様、今日も私にはその話を理解することができませんでした。」
彼女は、レコーダに言葉を吹き込む。
今日もその遺言を理解することができなかったという記録である。
「ジャック、おいで」
彼女は、記録を終え、レコーダーをポーチに入れると自分が従えている獣の名前を呼ぶ。
そのジャックと呼ばれた、人間ほどの大きさの狼は、マリアの顔に鼻をこすりつけ、嬉しそうに鼻をフンッと鳴らすと姿勢を低くした。
少女は、その白狼に飛び乗るとそのままさっそうとその場を立ち去った。
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