今日も列車は走る
駅のホームに屯している老若男女の耳に列車が近づいて来る音が聞こえる。
ホームにいる青白い顔の老若男女は列車に乗ろうと、ホームに群がり線路上を向かって来る列車の方へ歩む。
駅に近づいて来た列車は、ホームや線路上にいる老若男女を見て更にスピードを上げた。
ゴン! ドン! バン! 老若男女の頭が列車の前面に叩きつけられ弾け飛ぶ。
バキバキ! グシャ! バキゴキガリ! ボキ! グチュグチュ! ボキン! 列車の下に巻き込まれた老若男女の身体の肉や骨が、車輪で切り刻まれ挽き肉に変わって行く。
「アハハハハ、死ね! 死ね! 死ね! 糞共が! アハハハハハハ」
運転士が笑い声と罵声を撒き散らす。
駅の前を通り過ぎたところで冷静になった運転士は、血で真っ赤に染まった窓のワイパーを動かし血を拭う。
ゾンビの支配する世界で人間の領域は点と線、高い壁に囲まれた町と町を結んでいる鉄道、鉄道は生きて行く上で必要不可欠な物となっていた。
列車は血の海を越え、屍の山を越え今日も走る。