第78話 キャサリンと……。
───夜。
「パパっ……」
キャサリンは目を覚ました。場所は、火事が発生した民家の前の道端で寝伏せていた。確かアタシは、女の子のぬいぐるみを取りに行く為、火事の民家の中に入って、室内で中毒症状になり、そこで意識を失って……。とにかく、この場で自分が生きているのが信じられない位だ。室内で意識を失い、父親の思い出が走馬灯の如く夢となって現れて、死の覚悟をしたのだのが………。
すると……。
「よかった、目を覚ましたか?」
宗平は彼女の元に駆け寄る。
「………アンタ?」
キャサリンはムスっとした表情を浮かべ、宗平を眺める。すると宗平はキャサリンの意地悪い雰囲気に緊張しつつも口を開き、先程何があったのかを説明する。
「その………火事で燃えている家に君が入って行ったと聞いたから……大丈夫か?」
宗平は、未だに緊張した様子で尋ねる。何故なら、彼女に話しかけると何かしら怒ってくるから面倒くさいからだ。そして……宗平はキャサリンの隣にスッと座る。キャサリンを救出する行動により、自分の服装はボロボロに焼けている部分があり、頬や額にはヤケドが残っている。
キャサリンは宗平の顔をジロジロと眺める。よく見たら火傷などで額や服がボロボロじゃないか………と、心配な様子。
(………)
しかしキャサリンは、プイッと宗平から視線を反らして体育座りの体勢で座る。緊張でドクドクと鼓動を響かせ、素直になれない気持ちになり沈黙する……。
(ええ、と?……)
面倒臭い空気になる。キャサリンの様子に頬をポリポリと掻いて困惑し、宗平も沈黙するのである。何てしゃべっていいか……何故なら、キャサリンの性格は意地悪かつ面倒臭い為、何て言われるか……。
するとキャサリンはうつ向き、宗平に対し、小さく声を出す。
「あのさ……」
「何だ?」
キャサリンはモジモジと恥ずかしい様子を浮かべ、そして………。
「……ありがと……助けてくれて……」
自分の頑固な気持ちを押し殺し、気持ちを吐き出すかのように……キャサリンは顔を赤くし、宗平にスッと頬にキスを与え、そして肩に密着し、寄り添う。
まず宗平が来てくれなかったら、自分は命を落としていた……。
だから……アンタには特別に……との思いを込めて。
(………)
キャサリンの意外なセリフに、宗平は沈黙。いつもなら変に怒って、面倒くさい塊の彼女が、ありがとう?。
「何だよその表情?私がアンタにありがとうって言うのが悪いのか?」
やっぱり、キャサリンは怒ってきた。




