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F・F 異世界の神になった少年の話   作者: やませさん
自分に出来ること6
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第70話 エイダと宗平(そうへい)




───〈王宮大露天風呂〉──


「……少し、身体が痛いが、徐々に引いてきたな……」


 宗平そうへいはグイッと背伸びをしてストレッチし、大浴場の風呂に入浴する。時間帯は深夜、途中で起きて目が冴えてしまった為、皆が寝静まった後にこっそりと足を運んだのだ。思わず声を漏らしてしまう程の良い湯加減だ……全身の痛みが徐々に融解されていくように癒されていく。


 みんなには、心配をさせてしまったな……現実世界では、あんなにがむしゃらになれなかった。あの頃の自身はもっと気弱で、臆病者で、何も出来ない自分だった。けど、今は……。宗平そうへいは頭の中、色々と考え事をするのである。確かに自分の行動で状況を悪くしてしまったり、時には復旧作業、今日は命の危機すらある救出活動もした。自分の行動力が実った結果だが、それを作ったのはアリシア、エイダ、リア、ニィーの皆と関わった事により、自分は変わったのかもしれない。


宗平そうへいか?……」


 湯気の向こう側から、声が聞こえる。その声に聞き覚えがあり、宗平そうへいは察した様子で声の方に視線を向ける。


「その声、エイダか?」


 宗平そうへいは尋ねる。


「この時間帯に……身体は大丈夫か?」


 全身タオル姿のエイダは、宗平そうへいの隣に寄り沿う。


「何とかね……この通り……」


 宗平そうへいはグイッと腕を上げ、元気をアピールする。あまり休み過ぎると身体が鈍ってしまう為、早く働きたい気持ちもある。


 少し間を開き、エイダは口を開く……。


「自分も、たまには一人で大浴場に入りたくなるのでな……お前はアレか、もしかして、誰かが入って来ることを予想して……」


 エイダは途中でムッと険しい表情を浮かべる。いつものおっかない表情のエイダに宗平そうへいは困惑しながら。


「いや、それは違う……寝てばかりで疲れたから、その……」


 宗平そうへいは頭をボリボリと掻き、口下手なセリフで答える。彼女の事は嫌いではないが、エイダに対しては変に緊張感があり、思わず口下手になってしまう。クスっと笑みを浮かべ、エイダは口を開く。


「……お前、口下手は相変わらずだな……」


 エイダは、少し呆れた様子でダメ出しの言葉。そこだけは変わらないのは、宗平そうへいの良い所かもしれない。


「それは、すいませんね」


 宗平そうへいは頭をポリポリと掻いてタメ息を吐く。しかし、口下手なのは生まれ付きなのでそれは仕方ない。


「けどな………私はそんな貴様も、好きだぞ」


「えっ?」


 エイダの言葉に、宗平そうへいはおもわビックリしてしまう。


「勘違いするな、異性としてではなく、人間としてだな………」


 

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