第53話 キャサリンについて
「キャサリンの事?」
宗平はロペスに視線を向ける。彼女の事は、良い印象ではないけど。するとロペスは少しため息を吐き、説明する。
「アイツはさ……この世界にまだ男がいた頃、父親が大好きだったんだ。アイツの父親はアタシの親方であり、いつも豪快で便りがいな所があって、部下思いで、皆から尊敬されていた、もちろん私も……」
───俺の父親とは大違いだな……アイツは、働きもせず、パチンコ、酒に酔っては俺やお袋に当たり散らして、最後にはヒステリックに謝り、土下座する。思い出しだけで……。
宗平は腕を組み、聞き入る。
「そんな……ある日、西の帝国との戦争で、男性達、もちろん親方も徴兵されてしまって………けど戦争には勝利したけど、キャサリンの父親は戦死したの……」
ロペスの説明に、宗平は少し納得したかのように。
「それからキャサリンは……」
「世界から男性が消滅して、戦争を引き起こした国王、そして女王陛下のアリシアを憎むようになって……それで、女王陛下と一緒にいるアナタを……待てよ……」
色々としゃべっているうちに、ロペスは(何か)を、クスっと思い返す。アイツとは色々と長い付き合いの為、どことなくクセが分かる……。そう言えば、アイツは……。
「どうした?」
急に黙ったロペスに、宗平は尋ねる。
「フフ、多分だけどさ……。アイツ、おそらくアンタを別に嫌っている訳ではないと思うよ……」
ロペスはクスッと笑う。全く、アイツは……と、バカと言うか……。
「えっ?何で?」
ロペスの発言に、宗平は声を出してビックリ。初めて会った時、何か物凄く嫌われているように見えたのだが……。
「よくあるアレだよ……あえて好意を持った意地悪をして、それで、色々と試しているのだと思うの……アイツ、気になる奴には、思わず意地悪してしまう性だから……」
ロペスは答える。幼馴染み、昔からアイツ(キャサリン)は……。
(小学生か……。はっ、まさか……)
宗平は、夢の中に出てきたトップレス姿のキャサリンを思い出した。まさか、アレが彼女の……胸を隠して恥ずかしい姿が、とても可愛く見えた。
「どうした?」と、ロペスは尋ねる。
「いや、何でも……」
宗平は顔を赤くし、頭をポリポリとか掻いて視線を反らす。いわゆる、ツンデレって奴……これについては、自分でも恥ずかしい為、答えられない。ツンデレって、現実世界では存在しないと思っていた。マンガやアニメだけの存在だと……本当にいるんだな……と、驚いた。




