───責任逃れの王妃の話
5年前、世界から男性の存在が消えた……。
原因は不明……。最初はとある国にあるとある地域から1人、また1人と消え、そして隣の国まで及ぶ。始めは何とも思っていなかった男性消滅による怪奇現象は世界中に伝染し、そして世界から男性が消滅した……。
母上っ!!と、小さな姫が慌てて書斎室に入る。
───ああ何で、アナタまで……。
王妃は主人の消滅に絶望し、主人の王族の衣類を掴み、泣き崩れていた……。独裁的でタカ思想に支配され、戦争に明け暮れていたが、それでも主人を愛していた。
──母上……母上……。
小さな姫様は、王妃に心配な様子で駆け寄る。上手く状況が読めず、ひたすら尋ねていた……。母上が泣いている光景に、不安を抱く姫様。
───アナタや息子達が消えたら私は、私は……。
王妃は泣き崩れ、絶望していた。こんな自分には国民を導く事なんて出来ないからだ。城の外では怪奇現象により、国民はパニックになっていた、自分では指導者とても……。そんな王妃を見て姫様は立ち上がる。
───母上が無理なら………私が陛下になるからッ!!だから、泣かないで……母上……母上……。
小さな姫様は無茶な様子で胸を張り、国の最高責任者に就任するのである。全ての責任を押し付けた事による罪悪感によりそして王妃は決意する。
───ごめんなさい……シア……こんな弱い母を、どうか許して……。
時刻は未明……。王妃は書き記した手紙を残し、スヤスヤと寝ている姫様の部屋を通過し、城を出た……。パニックにより静まり返る城下町を抜け、北の林道を悲しい足音を響かせ、歩いていた。
★★★★★★
───〈北の町外れ〉───
王妃の行き着いた先は、北の林道を抜けた先の廃屋。少し娘が心配である為、この場所ならあまり干渉はしないが、この場所から城を眺められる……。なお娘には、この場所を教えていない……。いや教えられない、何故なら娘にはおそらく恨まれているからだ。
修復………。
───王妃は、得意の魔法を使用し、廃屋を改装していく………。それから庭にリンゴの木を植え、ブルーベリーの畑を作る。この場所から城を見守りつつ、残りの人生を楽しむ事にする……。
★★★★★★
それから5年後、現在。
宗平を見送った後、プリシアは家の中に入り、ポロっと涙を流しながら娘の写真を眺めていた……。
「きっと………大丈夫。宗平さんなら、きっと世界を変えてくれるわ………」
娘の写真を眺めるプリシアは瞳から流れる涙を拭き、期待する。




