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F・F 異世界の神になった少年の話   作者: やませさん
城下町の人々
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第41話 食後の談話





 テーブルには、食事後の皿が並び、完食。涙を流しながら食べたアップルパイは、しょっぱくも甘く、美味しかった……。


「ごちそうさま、美味しかったです」


 宗平そうへいは頭を下げる。


「はい、お粗末様でした」


 プリシアは皿を下げる。


「あの、軽蔑しないのですか?俺のせいで町が……」


 宗平そうへいは尋ねる。城下町で発生した事、自分のシャレにならない失態を説明したから、何を言われてもおかしくない。家を破壊され、多くの民間人が命を落とした……。


 プリシアはピタッと手を止め、戸棚に置いてある写真台を眺める。写真には、ピースした小さな金髪の女の子と若き頃のプリシアが写っている。


「師匠?」


 エヴァンはプリシアに視線を向ける。


宗平そうへいさんは、この世界は好きですか?」


 プリシアは尋ねる。


「えっ?……」


 宗平そうへいは分からない様子。


「色々な事を聞いたと思います、宗平そうへいさんが来る前、この世界は戦争の時代でした……。私は、この世界が嫌いでした。毎日、毎日、武器を持った兵士が戦争に行って、私は国や世界にウンザリしてました。改めて問います、アナタはこの世界は好きですか?」


 プリシアは真剣な姿勢で尋ねる。戦争を経験し、世界の終わりを知った……。プリシアは思うのである、男性が消えたのは神の裁きであり、人類滅亡に向かっていた今の世界が好きである。


「……まだこの世界に来て数日しか経っていなくて、色々な事があって……」


 宗平そうへいは言葉が詰まり、考える。


 何かマズイ事を言ってしまったのか、ピリッとした沈黙が張り詰める。すると……。


宗平そうへいさんは、この世界にて、何がしたいのですか?……」


 プリシアは言う。


「えっ?……」


 1分、2分、3分……。宗平そうへいは、ひらたすら考える……どうしたい、どうすれば、何をしたらいいか……。

 (お前は何も出来ない、母親に似て何も出来ないクズ)……と、糞親父の暴言がグルグルと思い出し、答えを曇らせる。プリシアの言葉に……白黒の景色が広がる……。それはどこにでもある不幸な光景、酒狂いの父親が息子の頭を踏みつけ、支離滅裂な罵声を上げている。隣にはアザだらけの母親が身体を屈ませ、自分も被害を受けるかもしれない恐怖で震えている。これを何度も経験した為、自信が持てない性格になった。

 

 自分はこの世界に来て、アリシア達と国と世界を立て直そうとしたいけど、今みたいに失敗して、わからなくなって……。


 宗平そうへいは過去を思い出し、頭を抱える……。自分にはこの世界に来て、目標がある。しかし、自分の行動が裏目に出て、今みたいな失敗して、それが怖いからだ。


宗平そうへいさん……」


 プリシアは真剣な表情。


「はい……」


 宗平そうへいは意識を取り戻す。


「失敗を恐れてはいけません。アナタはどうしてこの世界に来たの?……嫌われている?自分の行動が裏目に出て怖い?今、アナタの隣に誰がいるの?思い浮かべてご覧なさい……」


 プリシアは説教。


「自分の隣に……」


 宗平そうへいは思い浮かべる。笑顔のアリシア……ムスッとしたエイダ、母性的なリア。そして……エヴァン。自分には、仲間がいる……仲間を信じない、失敗を恐れては、前に進めない。と、宗平そうへいは決意。


「ごめんなさいね、意地悪な事を言ってしまって……」


 プリシアは謝る。


「いえ、プリシアさんに色々な事を教えてくれて感謝してます」


 宗平そうへいは感謝。


宗平そうへいさん、私、手伝いますよ……。そして皆で一緒にアップルパイを食べましょう」


「アップルパイばっかりだな君は?」


 宗平そうへいは、エヴァンのセリフに突っ込む。


(フフフ……先が楽しみね……)


 プリシアはクスクス。あの娘、良い友達を持ったようね……。と、写真の娘をチラッと眺めるのである。



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