第39話 宗平(そうへい)アップルパイに泣かされる
緊張感が漂わせる中、おそらくアップパイを振る舞ってもらって緊張しているのは自分だけであろう。それから十数分が経過した………。
「さぁアップルパイ出来たわよ、召し上がれ」
エプロン姿の女性は母性的な雰囲気を漂わせ、テーブルに2皿のアップルパイ。出来立てのアップルパイからフワッとした湯気、香ばしい香りが室内を充満させる。
「いただきまぁ〜~~すッ!!」
エヴァンはパンッと手を合わせ、次にナイフとフォークを持ち、アップルパイに伸ばす。師匠のアップルパイ、師匠のアップルパイ……食べたくて仕方ない。この為に故郷に帰って来たと言っても過言ではない。
「あらあらエヴァンちゃんったら……」
女性はクスクスと嬉しそうな表情を浮かべ、エヴァンがアップルパイを頬張る姿。まるで、自分の娘のように……アップルパイを美味しく食べてくれるから嬉しい。
では頂きます………と、宗平は運ばれてきたアップルパイに視線を移し、低いテンションで手を合わせる。
「うまぁ〜~~い……。サクサク、中フワァ〜~」
エヴァンはアップルパイを口の中でモグモグさせて幸せな様子。頬を押さえ、堪能。外はキラッとした表面、食べたらサクサク。中はリンゴの素材を活かし、程よい甘さのカスタードクリームがフワッと口当たりがしっとりと広がる。
「ハハハ……」
宗平は隣にてエヴァンのテンションに圧倒され、ナイフとフォークを持ち、微笑む。
「あら、食べないのですか?」
女性は心配な表情で尋ねる。
「食べないなら、貰っちゃいますよぉ〜~~」
エヴァンは宗平のアップルパイに獲物を狙う目の視線を向ける。
「エヴァンちゃん、横取りはいけませんよ。まだありますから、ね?」
女性は優しく注意する。
「ニシシシ……」
エヴァンはニシシ………と、微笑む。さて、実食の雰囲気が漂わせる所、このまま食べない訳にもいかないので。
「どれどれ……」
宗平はナイフとフォークを持ち、アップルパイをパクっと食べる。モグモグと………何ともない、焼きたての美味いアップルパイだ。しかしどこか懐かしい、そんな感じの味だった。料理の味は、個人によっては違うのだが……。
「どうですか?」
エヴァンはじぃ~と見つめて尋ねる。すると……。
「どうって?……」
宗平の瞳から涙がポロポロと溢れる。色々な出来事や感情が、懐かしいアップルパイの味により浮かび、現実世界にて過ごした人生、そして異世界で作ってしまった過ちを……。
「ちょっ……どうしたのですか?」
エヴァンは、いきなり泣き始める宗平の姿に動揺。




