第32話 城下町、襲撃される
――――――宗平にとっては、心臓に悪い夜だった……。
現実世界では見たことない生物、見ただけで失神してしまう程の衝撃的だった……。
そして、新しい仲間。名前は分からないが、とりあえず自分達で保護する事にする。
皆はトロールの洞窟を抜け、目的は達成した。長い時間だった……外は夜明、朝日が昇っていた。壮絶な光景、地獄のように広がる洞窟を脱出し、外の空気が新鮮に見えた。この地域において、トロールは絶滅した。と、確信し、他の地域から移り住まない限り、しばらくは危険な被害は押さえられる。
皆は、早朝の森林街道を歩いていた。
───結局、俺は皆の役には………。
宗平は思い浮かべ、実際、何の役にも立っていない。逆にトロールに捕まり、皆に足を引っ張ってしまった。
「にぃ?」
女の子は心配な様子で宗平を見てくる。
「何を考えている?」
アリシアは尋ねる。
「いや………少し疲れただけだ。それより、この子はどうする?」
宗平は気負った本音を隠し、保護した女の子について、アリシアに聞いてみる。
「そうじゃな……行く宛も無いし、とりあえずは城で保護しようと考えている」
アリシアは答える。
「にぃッ!!」
女の子は喜ぶ。
まず、他の地域の間や村、城下町においても保護した女の子の身寄りが分からない………。女の子の社会機能に問題があり、長い間、不満が充満している城下町では引き取り手は難しいと判断した。
───すると、先に城下町の方に足を運んでいたエイダが、血相を変えて駆けつける。
何かあったのだろうか……。
「陛下、城下町がッ!!」
エイダが声を上げる。
城下町の方角、激しい黒煙が立ち上っていた。
皆は急ぎ、駆け走る。
一体何が……様々な思惑が交錯し、城下町に向かう。
───〈城下町ショーシャンク〉───
場所は中央広場。アリシア達駆け付けたが、思いもよらない光景が広がり、まさに地獄。一体何が……。
「アンタ達、町がこんなになっていたのはに、何をしていたんだよッ!!」
顔に包帯、腕にはギブスが固定された負傷者がズラリと広がり、アリシア達に押し寄せ、町民達からは激しい非難。町の建物中は破壊され、街頭の柱はポキッと折れ、町全体に黒煙。地面にはガレキが行き渡り、バキッと割れていた。1体、2体……数十体の数の遺体が袋に入れられ、安置されている。
「一体、何が?」と、エイダ。
「一体何がじゃないよ、昨夜、モンスターに襲撃されたんだよッ!!」
町民の一人は訴える。
「家や食料は無くなるし、アンタ達いないし、どうゆうつもりなんだよッ!!」
町民達は非難。 深夜、アリシア達がトロール討伐している間、モンスターの集団に中央部の建物は破壊され、食料は食い荒らされ、補食されたり、死傷者が多く出ている。具体的な理由は分からない、恐らく男が消滅した事による生態変化による現象であろう。
「これはだな……」
アリシアはオドオドした様子で前に出て説明しようとするが……また……私は……。と、非難される恐怖が浮かび上がり、心が萎縮し、涙が流れ落ちる……。
「待ってください」
宗平はアリシアの前に出る。




