第28話 宗平(そうへい)助かる
───入ってきたのは、アリシアとリア。
「見事、作戦は成功じゃったのぉ……」
アリシアは、無残と化した1体のトロールの死体を片手で持ち上げ、辺りを眺める。
洞窟内にいるトロールの数は1、2、3、4、5、6と……。数は少ないのは残念、もう少し多いのを期待していた。アリシアの後ろから………リア。
「エイダちゃん。囮役、ご苦労様……」
リアは囮役のエイダを発見し、ご苦労様と声をかける。しかし………。
「ヘヘヘヘッ……もっと、もっと……」
エイダは悶え、頭の中は快楽。トロールの野蛮かつ優しい口術にハマってしまい、もっとして欲しかった……。
(もう、エイダちゃんったら……)
リアは、悶えているエイダに呆れる。提案はリア。作戦は簡単、セクシー衣装のエイダを適当な広地に放置し、トロールが持ち帰り、その後を追っただけだ。
エイダがビキニ姿になったのは、トロールを欲情させる為であり、それを見事に引っ掛かった。
エイダ本人は進んで行ったらしい。最初は嫌がっていたが……嫌々言いながら徐々に装備を脱ぎ、最終的には広地に寝転んでトロールを待っていたらしい。アリシアは辺りを眺め………。
「おーい、宗平ッ!!」
アリシアは大声を響かせて呼び叫ぶ。薄暗い広地に、パラパラと砂煙が広がり、ビリビリとした声が響き渡る。
「この声は………アリシア、リアッ!!俺はここだッ!!」
宗平は必死に、自分は生きていると叫ぶ。
───ウォッ!!と、トロールは宗平を放り投げ、アリシア達を睨み、ブチッと怒る。ちなみにトロールは縄張り意識が強く、縄張りに入ってきた者には容赦はない。宗平を確認したアリシアは安心した表情を浮かべる。
「よかった………あやつ、生きておったわい……」
アリシアはホッとした様子である。ちなみに……突然、宗平が自分達の所から姿を消した時はもしかして………殺されたんじゃないか……と、最悪な状況を覚悟していた。
───グルルルルッ!!
トロール達は、アリシア達を侵入者として敵と認識し、身体をプルプルと震わせる。アリシアは真剣な声を響かせて………。
「リア、ここは私にやらせてくれ。まだまだ、暴れ足りないのでの……」
アリシアはトロールの死体を地面にポイッと投げ捨てる。そしてピリッと殺気を漂わせ、マスコットみたいな姿、見た目とは裏腹に黄金の獅子のような威圧感を漂わせ、両拳を構える。ちなみにアリシア、父が生きていた頃、腕相撲で圧勝した事があり、他の力自慢の男にも負けた事はない。




