第21話 宗平(そうへい)イモムシにビビる
───〈西の森林街道〉───
エイダとリア、アリシアと宗平は夜の街道を歩いていた。街道には外灯がポツポツと照らし、夜風が吹き、巨人のように、パキパキと小刻みに揺られる木々、不気味な静けさが漂う。
(………)
宗平は、キョロキョロと、無言で辺りを眺める。何で言ってしまったのだろう……けど、ここで行かなければ何も変わらない自分に戻ってしまう。と、葛藤し、正直、恐怖で心が畏縮している。
どうする、どうする……。
「何じゃ怖いのか?なら、今すぐ引き返すか?」
アリシアは言う。
「大丈夫、俺が決めた事だから……」
宗平は無茶なスマイルで応える。しかし、正直に説明すると、かなり怖い……。心が震え、逃げ出したい気持ちである。だが、昔の自分を超える為、この世界にて……。
すると……。
「待て」
エイダは炎属性のロングソードを片手で構え、臨戦体勢。全身、炎属性の威圧感を漂わせ、辺りを眺める……。エイダのピリッとした言葉に、皆は立ち止まる。
バキバキと乾いた音を響かせ、1本、2本、3本と、次々と森林の大木が倒れ、砂煙がズシンと広がる……。
(………)
バキバキと大木が倒壊していく轟音に宗平は、後退る。全身が逆立つような緊迫した空気、宗平の鼓動がバクバクと高鳴る……。
夜闇により、見えない轟音、チリチリした砂煙、そして……。
───クルルル……パキュパキュ……。
街道からヌメヌメと現れたのは、3メートルのネバネバした緑のイモムシ。不気味に照らした色彩な鱗、グロテスクな無数の牙を生やした口、大木をバキバキと食べている。
「ひっ……」
宗平はビビる。何だあのイモムシは……現実世界で見たイモムシより、めちゃくちゃデカイ。
特にあの無数の牙、色彩な鱗は生理的に受け付けない……。
街道の中、炎の斬音が響き、ピカッと一瞬で光り、消える……。
「今の光は?」と、宗平。
「ざっと、こんなものか……」
エイダは、炎属性のロングソードをスッと払い、イモムシを片付けていた。今の赤い光は、エイダの一撃により、発生した光である。
───先ほどのイモムシは、首が斬り跳ばされ、肉体がピクピクと震え、紫の血が地面に広がる。
「うっ……」
宗平は倒したイモムシの臭いが鼻を突き、吐き気、思わず口を塞ぐのである。
「おやおや……」
エイダは、炎属性のロングソードを構え、辺りを眺める。
───1体、2体、3体、4体、5体、6体……いや、もっといる。沢山のでかいイモムシ達が皆の前に出没し、色彩な鱗を照らし、無数の牙をリズミカルにパキュパキュとさせる。




