第17話 パニック
――――――皆は、それぞれの業務を行っており、忙しい状況だ。
ヒマなのは宗平のみだ……宗平は、城下町に足を運び、見学をしに行くのだった。
自分の事、町の人に知ってもらうのも悪くない……。
───〈アルタリア城・城門〉───
宗平はアルタリア城の城門を抜け、1本橋を進み、城下町に向かうのである……。城の周囲には水路が広がり、高さは数十メートル位はあり、落下したら間違いなく死亡する。
───〈城下町・中央広場〉───
「来たのは良いが、何をすれば……」
宗平は頭をポリポリと掻き、広場の周囲を眺める。勢いで来たが、具体的に何がしたいのか思い付かない……。
「ねぇ、ちょっとアレ……」
数十分後、宗平を見つけた女性達がゾロゾロと集まって来た……宗平をジロジロと眺め、ヒソヒソと話をしている。
「これはこれは……」
宗平は困惑。女性にモテるのは初めてであり、何か心地良い感覚だ。まるでアレだ、ファンに見つかったアイドルのように。するとそこに。
「ねぇ、そこのアナタ……私と遊ばない?」
紫の袖無しワンピースを着用した黒髪の女性が色っぽく宗平の頬に手を当て、尋ねて来た。
「え、俺と……」
宗平は思わずドキッとなり、美しい女性に照れる。すると、そこに割って入るように。
「ちょっと、何を抜け駆けしてるのよ?私が先よッ!!」
次は白の袖無しワンピースを着用した美人が紫の袖無しワンピースの女性の肩を掴み、怒鳴る。
「何言ってるの私よっ!!」
他の女性が声を上げる。
「いえ、私ッ!!」
また女性の声。
「ひえぇ〜~~……」
この状況に宗平はオドオドしてしまう。混乱は伝染し、広場中は多くの女性達が宗平の取り合いになり、大パニックに発展した。引っ張り合い、掴み合い、何言っているか分からないセリフを罵り合い、揉みくクチャになる。
(やってられるか、このスキに……)
宗平はゴタゴタに紛れ、走り、広場から脱出。大勢の女性達にモテるのは嬉しいが、これはさすがに怖い……女性だけしかいない世界は、ある意味恐ろしい………。ファンと言う例えは前言撤回、群がるゾンビだ。宗平は数十分間、ひたすら走り、建物の間から覗かせる裏通りの入口から路地に入る。
「ハァ……疲れた……ここまで来れば……」
宗平は裏通りを歩いていた。町の様子を見るつもりが、よかれと思って行ったが、とんだ事態に発展したものだ。
───〈裏路地・広地〉───
殺風景な光景が広がる。陽当たりが悪く、建物と建物の間に出来た空間、ホコリが漂い、地面は冷たい。
「ふぅ……」
宗平は建物の壁に背をモタれ掛け、ひとまず休憩する。陽当たりが無く、涼しい感覚だ。必死に走った時に出てきた汗が消え、心地よい。
「随分とモテモテみたいだな……」
と、ガラの悪そうな声が響く。




