第13話 宗平(そうへい)託される
観衆達に行った演説が終了し、夜になったアルテリア城にて……。
王宮会食室にて。
宗平、エイダ、リアは、会食テーブルに座り、心配な様子である。心配な理由、アリシアが演説が終了後、部屋から出てこない。10名の使用人達は、陛下の様子に心配であり、下を向いている。
───1、2、3時間……経過。
「アリシア陛下、部屋から出てこないなんて……」
エイダは腕を組み、悩む。するとリアは思い浮かぶ。
「恐らくなんだけど、観衆から心無いヤジの発言が聞こえたけと、原因はそれなんじゃ?」
リアは言う。
「確かに、本当の事を言われたらな……さすがの陛下も、効いたんだろな……」
エイダは言う。普段、アリシアは元気の塊、しかし、どこか思い詰める気質で、重圧に弱くて沈みやすい性格である。宗平が来る前、人類滅亡に恐怖し、泣いていた過去がある。エイダ、リアはなるべく陛下には人類滅亡の未来を悟られないように努力したが、バレてしまったらしい。
夜飯になっても、姿すら現さないので、さすがに心配になってきたのだ。
「なぁ、宗平。お前なら、陛下を呼んでくる事を頼めるか?」
エイダは宗平に視線を向け、頼む。
「俺が?……」
宗平は、指を自分に指す。するとリアは宗平に視線を向け。
「私からも、お願いするわ。宗平様、これはアナタにしか頼めないの……」
リアも同じく、宗平に懇願する。
「私達も、同じくお願いします……」
使用人達も立ち上がり、頭を下げる。アリシア陛下と同じ目線で話せるのは、宗平だけである。
えっ、俺が……。使用人達の希望的に満ちた視線に、宗平は。
「うーん参ったな…………そんな大役、俺じゃ出来るかどうか……他の人じゃなきゃダメか?」
宗平は弱腰な様子で頭をポリポリと掻く。アリシアを連れ戻してくるなんて自分に出来るか、不安だから、責任重大な役目は……よし、こうなったら適当な言い訳を……。しかし宗平の思惑を勘づいたかのようにエイダはギラッと瞳を光らせ、同時に殺気ある鋭いセリフを吐くのである。
「出来ないは無い、やれ。でないと、殺す……」
エイダは剣を抜き、宗平に突きつける。ちなみに冗談ではなく、本気で殺す気である……。そんな殺気が彼女から伝わってくる。
「やらさせていただきます……」
そして反射的に。宗平はビシッと立ち上がり、彼女による脅迫の圧に負け、無理矢理に承諾された。
「頑張って下さいッ!!」
リアは応援する。使用人を含む皆はアリシアの事は女王陛下として、1人の仲間として心配であるからだ。
 




