第12話 城下町の人々
城下町ショーシャンクにて。
空は爽快、演説日和だ。アルタニア城は建国は400年。世界に男性が存在していた頃、かつては軍事王国として、野蛮な隣国による侵略戦争を阻止し、そして制圧した。城塞の周囲は水路で囲まれており、城下町とは、巨大な鉄橋で繋がれている。
───〈城下町・中央広場〉───
ショコラ色の瓦屋根、白のレンガとコンクリートで建設された建造物が並び、石造りの地面が広がる。
窓際のサッシには、アルタニア王国の国旗、風でバサバサ揺れ、獅子が剣と盾を力強く構えた姿を描かれた絵、それが王国の国旗である。
演説台にはアリシア、横にはエイダ、リアがキリッと整列し、後ろには厚手のマントを装備した宗平。
広場中には女性国民達がゾロゾロと集合している。この世界には、女性しかいない……民のほとんどは、先に訪れる人類滅亡に不安、恐怖、悲しみに満ちている。
「皆の者、朗報じゃ顔を上げよ」
アリシアは声を響かせる。
そしてアリシアの声に、ざわざわと観衆達は顔を上げる。
「単刀直入に伝える。この世界に男性が現れたッ!!このアルテリア王国、ましては世界の救済の為、神様から贈られた奇跡、それを伝える為、こうして参った」
アリシアはハッキリと言った。
「オトコッて、数十年前に消滅したって言う……」
「オトコだって?」
観衆はアリシアの発言に、ザワザワ。まるで、グツグツと煮詰まった湯のように……。
「自分は、別の世界から来た山下……」
「その位でよい。まだ分からない者もおる、自己紹介しなくても国民達は覚えていく」
アリシアは宗平の自己紹介を中断させる。
「そうなのか?」
宗平は言う。
「国民達よ、先の不安は解消された。子孫繁栄による遺伝子提供は、規律や法律、施設の整備などで時間を要する。それまで待っていてくれ、以上、これにて演説は終了、解散ッ!!」
アリシアは、演説を終了させる。何故なら、父上のように、長々と演説する性格ではないのだ。
すると。
「ふざけるなッ!!
「独り占めするなッ!!」
「子孫を残す権利は私達にもあるッ!!」
「私が先ッ!!」
「いえ、私よッ!!」
観衆達は噴火したかのように、大パニックに発展。
エイダ、リアはアリシア達を守ろうと、大パニックに押し寄せてくる観衆達を抑える。
「あの、パニックになってるけど?」
宗平は心配する。
「心配ない、不安から解消されてストレスが貯まっていたのじゃろ……」
アリシアは軽い気持ちの様子。ポンッと宗平の肩を叩き、長居は面倒くさい為、切り上げようとする。
観衆の1人、堪える様子で……
「ちゃんと国民を見ろよッ!!それでも国のトップかよッ!!これまでロクに何もしなかったクセにッ!!」
観衆の1人、桃色の女性がヤジを飛ばした。
「───ッ!!」
アリシアは、ヤジの発言にピクッと気に障り、心の中に剣がグサッと突き刺されたかのように……立ち止まる。
「どうした?」
宗平は尋ねる。
「何でも無い……」
アリシアは元気無い表情で、広場から立ち去る。




