───朝食、演説の会議
――――――〈王宮会食室〉――――――
大理石の床が広がり、高級な装飾品が備えられた色鮮やかなガラスの大窓、深紅のカーテンが開いている。会食室の使用目的は主に大規模な会議、執務、食事であり、今は朝食中である。
――――――会食室のテーブルの長さは数10メートル位、アリシアの隣には3名の使用人、そしてエイダ、リア。どのような注文に対応出来るように、整列している。
朝食メニューの焼きたて上品なクロワッサン、オムレツ、色彩野菜サラダ、スープ、ミルク。アレだ、ホテルに出るようなメニューだ。
本来、会食テーブルに座るとき、陛下と客人は10メートル離れ、相対する形で座るのだが、アリシアは自身の希望により、隣合わせで宗平と座っている。
アリシアは宗平に視線を向ける。
「どうじゃ?お主の口に合うか?」
アリシアは尋ねる。
「うん、美味しいよ」
宗平は感情表現が疎いのか、普通の返事で返し、食べる。王宮の料理は現実世界で普通に生きていても味わえない美味しさであり、どの料理も絶品である。
「そうか、そうか、気に入ったか……このクロワッサンに使っている小麦は北の地域、ノースレマン州産、野菜や卵、食肉は主に南部サウスメイン州産から輸入しておるのじゃ……」
アリシアは自慢気に語る。王国の北部、南部の地域は先祖代々ゆかりの地、国内で最高認定された食糧を輸入している。
「そうなんだ……」
「何じゃ、その関心の無い返事は?よし、この事態が落ち着いたらお主を王国各地に連れていってやる……待て、勘違いするではないぞ、お主と私はまだ恋人関係じゃないぞ、この私を誘導するとは、まだまだなんじゃぞ」
アリシアは恥ずかしそうな表情を浮かべ、宗平にブンブンと指を差す。
「忙しい奴だな……」
宗平はオドオドした表情で頭をポリポリ。
(楽しそうで、何よりね……)
リアはクスクス。
───そして朝食後、アリシア、エイダ、リア、宗平は会議テーブルに座り、話し合う。
「今日の朝、城下町ショーシャンクにて演説を行う。急遽な話じゃが、国民を安心させる為じゃ……この世界に男性が来たと言う事を、希望が訪れた事を知らせなければならない……その後は色々と会議を重ね、法整備やら規律やら、大変になるぞ……」
アリシアは腕を組み、真剣な様子。
「俺は、その演説で何を?」
宗平は尋ねる。
「お主は、何もしなくて良い。ただ、自己紹介すれば良い……エイダ、リアは国民が暴動が起こらないように、対処してくれ」
「イエス・マム」
エイダとリアは敬礼。




