―――――神の記憶
―――――異世界を滅ぼし、現実世界にて凄まじい人生、痛み学んだ……そして転生し、滅びゆく異世界にて……顔を思い出せない彼らと過ごし、成長を学んだ……。
異世界の神はアレックスに、アレックスは現実世界にて、神とての記憶を封印し、宗平として生を受け、そして死亡し、宗平として、この世界に帰って来た……。
――――――全ては……ここに辿り着く為に……最後の試練を迎える為に……。
―――――〈?????〉―――――
灰色の景色が広がっていた。
灰色の空、灰色の廃墟が存在し、荒廃化した砂漠が広がる。何度か、夢の中で見たあの景色である。
「そうか、ワシは……」
宗平改め、神は自身を眺める。
正体は、老戦士の神、神官ローブを着用し、厚手のマント。
武器は大剣を装備、まさか……俺が……。
―――――また、舞い戻って来るとはな……。
黒い粒子が結集し、巨大な異形に具現化し、出現したのは漆黒の思念体。
奴は、かつて宗平として異世界で存在し、夢の中で現れた異形体であり、世界を漆黒の闇に染め、神を呑み込んだ……。
「そうか、貴様は……」
老戦士の神は察し、大剣を構える。
漆黒の思念体の正体、それは神が滅亡させた男性の魂であり、魂は邪悪、神に対して憎しみ、怒り、悲しみが宿っている。
―――――そうだ、貴様に滅ぼされた全ての憎しみだ……この私を浄化しない限り、世界を創り直す事は叶わぬ……。
漆黒の思念体は両爪をパキパキと鳴らし、ズシッ……と、低い声を響かせる。
(………)
老戦士の神は、思い浮かべる。
金髪の少女……赤髪の女性……青髪の女性……黒髪の眼鏡の女性……そして、茶髪の少女……あの世界にて、面白くも厳しく、自分に色々と経験した思い出が……回想される。
思い出さなくては……忘れてはならない、彼女達の事を……。
―――――宗平ッ!!
―――――おい、宗平ッ!!
―――――宗平さんッ!!
―――――しっかりして下さい、宗平さんッ!!
―――――おにーちゃんッ!!
(アリ……イダ……ア……ヴァン……ニィ……)
老戦士の神は……彼女達の声を思い浮かべる。
金髪の少女。
一生懸命な性格で、たまに落ち込んで……それでも立ち上がって、懸命に前に進む強い女の子であった。
赤髪の女性。
性格はアレだが、仲間思いであり、よく背中を押してくれた……。最初、会った頃はビックリしたけど、良い思い出だ。
青髪の女性。
赤髪の女性と同じく性格はアレだが、それと同じく、仲間思いで、誤った道を進まずに済んだ……。
よく、赤髪の女性を……思い出したらちょっと……。
黒髪、眼鏡の女の子。
知識が豊富なのか、ちょっぴり……変わってはいたが、一緒にいて楽しかった……。
色々と相談に付き合ってもらい、ありがとう。
茶髪の女の子……。
自分の妹のようで、よく引っ付いて来て、知識の学習能力が良く、驚いたし、友達も出来て嬉しかった。
将来が、楽しみだ……。
―――――それだけではない……あの世界、あの町で生きる全ての人達の……。
あの世界で共に過ごしてきた彼女達、厳しくも優しく、色々あったが……俺は……。
―――――どうした……神よ?
漆黒の思念体は、尋ねる。
全てを包み込み、支配しるような威圧感を漂わせ……。
――――――そうだ……思い出したよ、あの世界で、みんなと出会い、歩み、そしてこれからの……。
「アリシアッ!!エイダッ!!リアッ!!エヴァンッ!!ニィーッ!!」
老戦士の神は、彼女達を思い出した……。
大剣を構え、叫ぶ。
そして……5体の光が出現し、人形を具現化させる……。




