―――――充実した日々、回想
―――――それから……充実した日々を過ごしていた。
俺はリアーネの笑う顔が好きだ。最初はどうなるかと思っていたが、次第にアリシア達と馴染んでいた。
怒り、憎しみ、悲しみに囚われた頃とは違い、本来の性格のようだ。
しかし、自身の所業に責任を感じている為、性格は従順。少しでも失敗すればお仕置きを依頼して来るため、少し困る。
城では準備に追われていた……。
宗平が陛下に就任する際による戴冠式の準備。
城下町では、同時に感謝祭が開かれる事になり、町民は大忙しであり、戴冠式と同時に執り行われる。
宗平は、城下町に行って準備の手伝いをしたいが、感謝祭の準備は町民による業務の為、ダメである。
―――――色々とあったな……。
宗平は、屋外庭園のテラスから城下町を眺める……。
初めてここに来て、意味も分からず、アリシア達と出会って……。エイダは少し短気で、残念な所はあるが、面倒見がよかった。
リアは、物静かで、正格はアレだけど、エイダ同様、面倒見がよかった。
エヴァン……出会った時は、変な女の子だったけど、いつも楽しい雰囲気になった。
ニィーは、妹みたいで、可愛かった……大きくなったら、可愛いくなる。
――――――そして、町の人達。
厳しくもあり、認めてくれた……嫌われていなかったら、自分は何もしようとは出来なかった……。
アリシア……普段は元気で、時に落ち込み気味な女王陛下だけど、母親と和解が出来て、よかった。
何度、彼女に元気を与えた……その度に、自分も元気を貰った……。
キャサリン……初めて出会った時は嫌な奴だった。
そして彼女の過去を知り、強引で不器用、ながらも優しい性格でもあり、素直になれない所もあり、カワイイ。
ロペス……町の人から嫌われていた時、チャンスを与えてくれた……もし、あのチャンスがなければ今頃……。
口数は少ないけど、親切で料理が美味しかった。照れる所は女の子らしくて可愛かった。
ミラ……ニィーの友達になってくれてありがとう……。
―――――みんな、大好きだ……。
過ごしてきた日々を思い浮かべ、宗平はポロリと涙を溢した……。今まで生きていて、これだけ一生懸命になった事はない。
この世界で生き、自分は仲間と共に、未来を歩んでいくから……。
―――――もし、何かに迷った時は……私達を呼んでくれよ……。
「何だ……」
宗平は、頭の中に浮かび上がる謎のメッセージに動揺。
私達って……アリシア、エイダ、リア、エヴァン、ニィーの事だ。自分の中の私達は彼女達、そして……城下町の人々であろう。
―――――充実した日々だった……。
宗平は、気分良く瞳を閉じる……。




