第110話 宗平(そうへい)、リアーネの中へ……
―――――ッ!!
エイダは魔法剣、リアは魔法ハルバートを振るい、アリシアは拳撃、蹴撃。
ニィーはパワー任せの体術を活用し、モンスター達と交戦中。
場所全体、斬られ、拳撃を与えられ、トロール、イモムシ、修道服兵の戦死体がゴロゴロと行き渡る。
「思ったより、やるようだな……アレックス、この娘を救ってみろっ貴様らに、出来るならな……」
異形化したリアーネは両手を広げ、モンスター達を引き寄せる。
「クソ、何か手は無いのか?」
遠い距離、交戦に巻き込まれない位置にて、宗平は辺りを眺め、そしてリアーネに向かい、走ろうとする。
一か八か、リアーネに接触して彼女の精神の中に侵入して、それが出来たら……。
「ダメです宗平さん、アナタ、死ぬ気ですかッ!!」
エヴァンは、宗平の腕を掴み、引き止める。
それに、アリシア達に陛下になるって伝えてない。ここで、宗平が死ねば、世界の終わりである。
「なら、どうやって彼女の精神の中に侵入すればいい?」
宗平は尋ねる。
「宗平さん、アナタ、彼女の精神の中に入る気ですか?」
エヴァンは言う。
「それしかない……さっきの一言では、すぐに支配されてしまうから……精神の中に入って、直接……君は、相手の精神の中に侵入する魔法は使えないか?」
「出来ますけど……危険すぎますッ!!そんな事をしたら、帰ってこれなくなりますッ!!」
「使えるんだな?……大丈夫、俺は、これまでにも、何度も生還してきた……俺を信じてほしい、彼女を……救いたいんだ……」
宗平は、エヴァンの両肩に両手をポンっと置き、真剣なセリフ。
彼女を救いたい……と、宗平の気持ちは固い……何故なら、リアーネは自分以上に凄まじい過去を送り、自分も最初は生きる意味を見いだせなかった……。
しかし、俺だって……この世界で、リアーネだって、やり直せるハズだ……皆で、この世界を立て直して行きたい。
―――そう、思って……。
「……私は……分かりました、アナタを信じます」
エヴァンは頬を赤くし、すぐに判断。
精神転移の魔法は、かなり危険である。相手の精神の中に侵入し、説得する作業である。
相手は魔法の書。もし、宗平が負けれたら、死である。
「サンキュー……」と、宗平。
「宗平さん……」
エヴァンは……宗平に接吻……。
「エヴァン……」
「生きて帰れるように、おまじないです……では、いきますよ」
エヴァンは……かの者の精神、相手の精神との間に、道を与えよ……。と、杖を振るい、スラスラと詠唱。
「行ってくる……大丈夫、俺は戻って来るからっ……」
宗平の地面に詠唱陣が出現し、そして光の玉に変身。
―――――光の玉に変身した宗平は飛来、異形化したリアーネに侵入。




