第107話 リアーネ・エレボ・シャール
―――――嬉しいわ……アレックス……アナタに会いたい、こっちに……。
銀髪ロングの女性は両手を広げ、宗平を誘う。
人間とは思えない雰囲気、例えるなら神秘的な姿をした(何か)だ。オカルトな現象だが、この世界に来て、もう気にしない。
―――――アレックス……アレックス……助けて……。
宗平の頭の中、銀髪ロングの女性の声。
「今……助ける……」
宗平は、女性の所まで、1メートル、2メートル、3メートル……歩き進む。
自分が指命されたので、自分が行く事にする。
「アイツは、まさか……宗平、戻るんじゃッ!!」
アリシアは何かを思い出し、察知。
急いで宗平を呼び叫ぶ。
―――――遅い……。
銀髪ロングの女性は豹変し、ガシッと宗平に掴みかかる。
全身、漆黒のオーラを漂い、瞳孔の瞳は漆黒に染まり、銀髪ロングはトゲトゲに逆立っている。
「ぐっ……」
宗平は全身を掴まれ、苦悶の様子。
まるで、アナコンダに締め付けられているような痛覚だ。
現実的に、アナコンダに締め付けられた事はないが……。
「貴様ッ!!」と、エイダは魔法の剣を構える。
「宗平さんッ!!」
リアは魔法ハルバートを構える。
―――――会いたかった……会いたかった……アレックス、私は待っていた、アナタを殺す時を……。
「宗平は、関係ないッ!!恨みがあるなら、私にすれば良いじゃろッ!!」
アリシアは訴える。
「貴様を殺した所で……コイツが存在すれば、国や世界は立て直し、長い年月の果て、再び争いが生まれる……」
異形化した銀髪ロングの女性は、濁った声で答えた。再び争いが生まれ、悲劇が生まれる……王国に併合された私の祖国のように……。
「リアーネ・エレボ・シャール。王国に滅ぼされた元シャール帝国第1皇女、そうじゃろ?」
アリシアは言った。




