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F・F 異世界の神になった少年の話   作者: やませさん
慣れて来た日常
130/153

――――番外編・帰って来た後、叱咤激励の相談



 宗平そうへいは、城下町から帰って来た後、エヴァンのアトリエに向かう……。



―――――〈evan.of.atelierエヴァンのアトリエ〉――――



「なる程、陛下にならないかって……」


 エヴァンは、魔法の大釜をグツグツと煮込ませ、混ぜ棒をかき混ぜ、魔法の大釜の中、虹色の液体がグツグツと泡を吹き、得体の知れない匂いが充満している。


「そうなんだ……俺は、何て……どうしようかと……」


 宗平そうへいは真剣な表情。

 昨日、大浴場を出た後、アリシアに呼び出され、陛下にならないか……と、打診されたのだ。

 理由、自身と共に国や世界を立て直す為、導いて欲しいからだ……。


―――――しっかりと考え、答えを出して欲しい……なお、日時はいつでもよい。と、アリシアは昨日、言っていた。


 しかし……肝心の宗平そうへい、自分は本当王様になるべき器なのか……と、迷っている。

 何せ、自分は王様、ましてリーダー役なんて、やったことないし、責任の強い事は……出来るわけが……。


「やればいいんじゃないんですか?……」


 エヴァンは、軽く答えた。


「軽いなっ……でも、俺が王様になったら、今の状況が良くなるか、悪くなるか……」


宗平そうへいさんは、少し自分勝手に物事を考え過ぎだと思いますよ……。アリシアは、陛下に就任した時、毎日泣いていたって、エイダやリアが言っていたし、アナタはアリシアに言いましたよね?周りに相談しろって……」


 宗平そうへいの優柔不断のセリフに、エヴァンは、珍しく真剣に答えた。


「だけど……俺には王様なんて……」


「ならどうします?断りますか?」


 エヴァンは尋ねる。


「やっぱり、そうだな……」


 宗平そうへいは辞退の意向。

 やっぱり、俺には……王様は無理だ。これまで通り、アリシアが女王として……現状維持。

 自分がまず、出来るようになってから……。


「貴様は、それで良いのか?」


「私も、宗平そうへいさんのセリフに憤りを覚えます……」


「ニィーッ!!」


―――――アトリエに入って来たのは、エヴァン、リア……そして、ニィー。


「みんな……」


 宗平そうへいは思わず、気抜けた声。


「私は、貴様に失望する……貴様は、この何日間、何を見てきた?」


宗平そうへいさん、私も、エイダちゃんと同じ意見です……」


―――――エイダ、リアは不満な様子で腕を組み、宗平そうへいを睨む。


「そりゃ……色々と見てきたよ、落ち込んだアリシアを励ましたり、トロールの退治に行って、その後、町の人から嫌われて……それから、地道に復旧作業の手伝いを……そして、溺れている女の子を助けに行ったり、次は火事になった家からキャサリンを助けに行ったりして……」


「普通の人には、出来ない事をやっている……貴様は気付かないか……町の人は皆、貴様を……」


「みんな、宗平そうへいさんに国王陛下になって欲しいって……アナタやアリシアが築く世界を見たいって……」


「けど……俺は頭が悪いし、リーダーシップ何て無いし……色々と失敗するかもしれないし、それに……」


 エイダ、リアの言葉はありがたい……しかし、宗平そうへいは……。


「しっかりしろッ!!」


 エイダは、宗平そうへいのお腹に拳を1発。


「私もです……」


 リアも拳を1発。


「ニィーッ!!」


 ニィーも拳を1発。


「ぐうっ……」


 宗平そうへいは、3人の拳撃にもん絶……特に、ニィーの1発がかなり痛いし、食べた物が胃袋からゲロゲロしてしまいそう……。


「分からなかったら、私達がフォローしてやるッ!!貴様は、陛下と一緒に国政を務めていればいいッ!!良いではないか、分からなくって、失敗したりしてッ」


 エイダはツンっと睨む。


宗平そうへいさん、アナタがこれまで送って来た人生は知りません。けど、今は私やみんな、陛下がいます……」


 リアは、手を差し伸べる。


「ニィーッ、宗平そうへい、大丈夫、わたし、いる……」と、ニィー。


「私もです……」


 エヴァンは、みんなに視線を向き、メガネをクイッと直す。


「みんな……」


 宗平そうへいの目頭から、大粒の涙がこぼれ落ち、そして拭い払う。

 自分は、何て恵まれているんだ……。現実世界では、凄まじい人生だったが、今は皆と共に進み、行きたいと決心した……。


―――――エイダ、リア、エヴァン、ニィー、そしてアリシア……。

 愛してる……みんな大好きだ……。


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