第10話 朝
───〈宗平の部屋〉───
「スゥー……スゥー……スゥー……」
宗平はベッドで寝息を吐き、スヤスヤと就寝中。昨晩、エイダと読書をしていた為、就寝時間が遅かった……。この世界の事を色々と知ったし、エイダと意見交換が出来たし、何より驚いたのは、彼女の親切な笑み、初めはキツそうなイメージだったが、少しは距離が縮めたかな……。と、期待する。
──そして朝、使用人達にカーテンが開けられ、窓から朝陽が差し、部屋全体に広がる……。
「うっ……眩しい……」
宗平の顔に朝陽が差し、思わず弱々しい声を上げ、背伸びし、起床。自分がドラキュラなら、断末魔の叫びを響かせて消滅しているレベルであろう。
「おはようございます、宗平さん」
ベッドの横にはリアが立っていた。
「リア、おはよう……」
眠たい顔をゴシゴシと擦り、宗平はリアに視線を向ける。リアはクスクスと笑みを浮かべ。
「良く眠れましたか?」
リアは尋ねる。
「まぁ……ね」
宗平は気だるそうな一言。あれから一体自分は何時に寝たのか、正直覚えていない。クスクスと上機嫌に笑い、さらに尋ねるリア。
 
「エイダちゃんとの読書、楽しかったですか?」
「ああ、新鮮かつ楽しい時間だった……あれ、何でリアが昨日の事を知ってるんだ?」と、宗平は質問する。その質問にリアは。
「昨晩、見回りしていて、それで知りました……2人の努力をジャマしてはいけないと思って……」
「入って来ればよかったのに……」
思わず言ってしまう。しかしリアは少し申し訳ない様子で。
「いえ、話の内容が内容でしたので……」
「君もアリシアの事を?」
宗平の問いにリアは。
「はい、あの子、エイダちゃんとも言ってたけど、アリシアさんは何でも自分で解決しようとするから心配で、私も時々、図書室でエイダちゃんと調べ物をし、意見交換をしてるのよ……」
リアは言う。彼女は責任感は強いが、その反面、気持ちがとても落ち込みやすい。父上や母上、兄上達がいないから自分がしっかりしなければならない姿勢の為、この国の王として……国民を導いて行かなければならない。と、背負っている。
「やっぱり、君やエイダもアリシアの事を心配してるんだな?」
「はい、でも本人には内緒ね……」
リアはスッと人差し指を差し、ヒソヒソと頼むのである。万が一彼女に聞かれてしまえば、自分は無能な女王陛下だと思い、落ち込んでしまうからだ。
う~~~~んっ……。
何だ?………と、宗平が寝伏せているベッドの中から声が漏れてきた、何やらモゾモゾしていた。
 




