第93話 異教徒の声
―――――〈墓地神殿・地下通路〉――――
「まったく、あの魔法使い、とんでもない場所に飛ばしよって……」
アリシアは松明を持ち、通路を眺め、歩いていた。
エイダ、リア、エヴァンとニィーを捜索し、合流したい。
通路の地面には小水路が行き渡り、ドブ水が流れ、通路の壁には棺桶棚があり、古い棺桶が安直されている。
「うっ……」
突然の頭痛が発生し、アリシアは頭を抱え、壁にモタれる……。
思い浮かぶのは、過去に目撃した処刑の光景、あの日から、何人も何人も……断頭台に固定され、首が飛んだ……最初は血の気が引いたが……隣の兄上達が真面目に眺めていた事もあり、そして慣れてしまった自分がいた……。
―――――アリシアの周囲には異教徒達の幻影が出現し、眺めていた……。
アリシアには見えていない、彼女のトラウマが描いた姿である。
「私は……私は……」
アリシアの額には冷や汗が流れる。
過去のトラウマと向き合い、壁にモタれながら歩き進む。
―――――世界……から……。
アリシアの頭の中に異教徒の言葉が流れる。
地下墓所に漂う霊の能力により、心に入り込み、幻覚を見せられている。
「黙れッ!!」
アリシアは怖がり、声を響かせる。
ドクッ……と、幼少に見た処刑。
ヤバイ思想を掲げ、王国兵や観衆達により、生き埋めされる異教徒の光景が浮かぶ……。
―――――男性……は消滅……世界……。
異教徒の幻影達は、アリシアの頭の中に言葉を響きかせる。
「お主らの言葉通りにはならんッ!!今は、宗平がおるッ!!世界は、これから立て直すのじゃッ!!」
アリシアは異教徒の言葉に激昂し、進むのである。
――――――さらに、処刑により、観衆達による雄叫び、ドクドクと、地面に行き渡る血……。
トラウマにより、反発によるストレス……全身からは汗が染み渡る……。
―――――消滅する……世界は全て……神により……
異教徒の声。
アリシアの心の中に……生き残った異教徒達、代表に宗平が祈りを捧げ、世界の消滅した……。
次、廃墟が広がった灰色の幻想景色を、アリシアの心の中に入れ、映し出すのである。
灰色の景色の中、取り残されたアリシア……。
「嘘じゃ……」
アリシアは、ドキッと言葉を失う。
―――――これが、真実……受け入れよ、そなたの思い人は、我らの……。
―――――宗平が、世界を……。
異教徒の言葉に、アリシアは気持ちが落ち込み、ドサッ……と、座り込む。
この先、私は消滅した世界で……。
―――――そうだ……
自身の心に身を任せよ……。
運命からは、逃れられない……消滅に任せよ……。




