第89話 城の中にモンスター
───その頃……。
「何で城の中にモンスターが……」
アリシアは溜め息を吐き、魔法ナックルグローブを構える。
赤い霧が充満し、異形化した廊下には、幽霊騎兵、骸骨騎士、大鎌を装備した骸骨聖女などのモンスターが発生している。原因は異形化した空間能力による魔力の異常発生によるものであり、そして魔力が集合し、精神体系のモンスターが発生したのだ。
「はぁッ!!」
エイダは魔法剣を振るい、3体の幽霊騎士を斬り伏せ、撃破していく。
───2体の骸骨騎士と2体の骸骨聖女はリアを狙い、カチャカチャと足音を鳴らし、駆ける。
「遅い……」
リアはスッと表情を一変する。これが本来、戦場でのリアであり、冷静沈着な表情で片手で魔法ハルバートをクルクルと構え直し、そして鍛えられたスピードで駆け抜ける……。1体、2体の骸骨騎士、次に2体の骸骨聖女に魔法ハルバートを振るい、撃破。
「ニィーッ!!」
ニィーは5体の幽霊騎士の隊列に向かってダッシュで走る。そして頭からドンッと突っ込み、幽霊騎士隊列ごと一気に撃破する。
ニィーはトロールと人間のハーフにより、鉄鉱石のような石頭であり、この程度では痛くない。
「雷の雨撃ッ!!」
エヴァンはスラスラと詠唱し、空中に魔法陣を出現させる。出現した魔法陣から無数の稲妻がバチッと展開し、10体の骸骨聖女に雷撃を与える。
───10体の骸骨聖女は、バチバチと電流を発生させ、撃破される。全て撃破されたモンスターは……消滅し、召される。精神体系のモンスターは、撃破されれば魔力だけになり、時間が経過すれば再び再構築される。
こうして、モンスター達は殲滅された。
「こんなもんでしょう……」
エヴァンは自慢気な表情。指先で眼鏡をカチャッと直すのである……。
「デカイのが勝つッ!!」
ニィーは陽気な声。高々と声を響かせ、ビシッと両腕を上げる。
「オッパイがデカイのが勝つッ!!」と、エヴァン。
そして、オッパイ最強などと声を響かせ、ニィーと一緒に意気投合している。
「あやつを見たら心配になってきおったぞ……あの小娘には、ちゃんと指導しておいてくれ……」
アリシアは心配な様子で眺め、エイダとリアに頼む。エヴァンと一緒にいたら、変な性格に育ちそうだからだ……。
「それは……承知の上です」
エイダとリアは、ビシッと敬礼。アリシアと意見は一致である……エヴァンは魔法使いとしては有能だが、引きこもり器質で変態な性格である。
悪い奴ではないが、一緒にいたら面倒臭い……。




