第88話 プリシアの決意、そして好意
「それは……あの子の母親として、ちゃんとケジメをつける為に、ワタシ個人として、行う事にしたのです……」
プリシアは暗い表情を浮かべ、答えた……。
「ケジメ?」
宗平は、分からない様子。
するとプリシアは説明する。
「私は、あの子に多大な迷惑を掛けて来ました……私のヒステリックのせいで……受けざるを得ない状況で王務を引き継がせてしまい、一方の私は、城下町から離れて、呑気に町外れの家で隠居生活を送っていました……政策が上手く行かず、町の人から色んな噂をされて、世界の滅亡に恐怖して泣いていた事も知ってます。けど、アナタがこの世界に現れて、あの子が笑顔を取り戻して、国や世界を立て直して行こうとしている姿に、私は母親として、あの子の成長を試す事にしたのです……あの子は、私を恨んでいるでしょう……気が済むまで、殴らせてあげる事にします……」
「アリシアは……」
宗平は……何かを答えようとする。しかし、アリシアは母親の事については何も言っていない……頭の中で考え、答えの言葉を探しているが、思いつかない。
───宗平の言葉に、プリシアは視線を向ける。
「その………アリシアは、あまり気にしてないと思います……アイツは普段、うるさい位明るいし、けどその分、落ち込みやすくて……俺はアイツと日々を送っているけど、アナタの事については怒ってなかったですよ……」
「そうですか……」
プリシアは、ボソっと一言。気休めの言葉として捉えている……。
「もし、その時は俺、アリシアを説得して、その……」
「……宗平さんは、よくお人好しって言われませんか?」
「それは……」
宗平は頭をポリポリと掻くのである……。河川水路で流されそうになっている女の子を助けたり、キャサリンを火事の家から助けたり……みんなからは、お人好し、バカ、命知らず、とか言われて説教されたりしたな……。
「私、好きですよ……宗平さんのそんな所……もし、よかったら、私とここで……」
「勘弁してください……」
恥ずかしながら誘ってくるプリシアに宗平は、断る。
「宗平さん、まだ経験が無いのでしょ?。大丈夫ですよ、アリシア達はすぐに来ませんから……」
「何でそんなにノリノリなんですかプリシアさん?」
宗平は、危機感。別の意味で、怖くなってきた……アリシア達よ、早く来て欲しい……。
ちなみに城全体の異変は、プリシアの魔法により、幻想空間となっており、プリシアが魔法を解除すれば、元に戻る仕掛けになっている……。




