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Welcome to UNDER WORLD  作者: 化野らん
2/2

獣の兆し

今回は新キャラ多めですので頑張ってください!


クーリエは急ぎ足で部屋を去って行った。


ロトは訝しい顔をしてから独り言を言った。


「人間たちは何をしたんだ?面倒にならなければいいんだけど…」


さあ、部屋を去って行ったクーリエだが。


彼ら監視班は、潜入が可能そうな場合のみ、監視班から潜入班に切り替わるのだ。


今回はそれが実行された。


つまり監視班、もとい潜入班は第三聖府へ潜入したのだが…。


「まさかあんな事に…」


クーリエはエレベーターに乗り込んだ。


地下百四階のボタンを押し、ロトに手渡された資料に通す。


『今作戦における協力者』という題の資料だった。


「第一聖府への潜入を試みる、という作戦か…」


第三聖府があんな状況だったんだ。他の聖府もどうなっているかわからないから、というわけか。


しかしこの協力者…一筋縄にはいかなそうだな。


『チカ、ヒャクヨンカイデス』


扉が開くと同時に、部下の一人がクーリエに迫ってきた。


「クーリエ様!ロト様にお呼ばれされていたようで!」


この悪魔はグリムル=マハトーン。


頭から一本のツノを生やした若い悪魔。


片目が髪で隠れているのは、彼が毎朝セットしているらしい。


「五月蝿いヤツだな。遠出をするんだ。準備をさせろ」


「え!? どちらへですか!? 」


仕方なくクーリエは資料を見せた。


「はえ?」


グリムルは素っ頓狂な声を出して、眉にシワを寄せた。


「これ、どういうことです? 第三聖府に何が…」


「さあな、まだ分からないんだ。ただ、遠くから見たら何も変わらないように見えたらしいのだが、近くに寄ってみれば──」


「第三聖府丸ごとクレーターのようになっていたんですか…」


「ああ。多分、結界かなにかのせいだろうな。建物も何もかも無くなっていた。もちろん人っ子一人いないらしい」


人間たちは何をしたのだろう…。


「あ、そういえば遠出するって仰ってましたよね? どちらへ?」


「第一聖府へ向かうときのパーティに参加してもらう協力者に交渉しに行くのだ。」


資料にはこう書かれていた。


『協力者・・・クドラク』


このクドラクという者。何者なのだろう。


たった一人。


コイツという存在が増えることにより、作戦が楽になるのだろうか?


もしも人間に見つかれば、もちろんそこでの戦いは避けられない。


その状況を、楽に出来るのだろうか。


只者ではないことは確かだ。


「ひゃあ。ドネツィク山まで行くんですか、大変ですねぇ…」


「そう…ドネツィクまで……って、ドネツィク!? ドネツィク山ってあの、グネエラ大陸にある!?」


「そうですよね。頑張ってきて下さいね。あ、ドーウィル様も行かれるんですね。交渉には」


ドーウィル=マドマンスコープ。


クーリエと同じ第三階級に位置する悪魔だ。


グリムルも面倒だが、このドーウィルという男も面倒な悪魔だ。


会えばわかる。


「ああ。まあそういうわけで今から行ってくる」


「行ってらっしゃいませ!」


笑顔で手を振っているグリムルを背に、クーリエは考えた。


悪魔協会はこのクドラクという者を信用しているようだな。


ならば信頼しても悪いことはないだろう。


でも気になるなぁ…一度も見たこともない名前だから。


消失した第三聖府。


悪魔協会から名の出た謎の者、クドラク。


なんか悪いことが起こる予兆みたいだな。


特に、人間たちの考えていること。


✱✱✱


「ロト様、失礼します」


扉を開いたのは、長髪の妖艶なオーラを醸し出している悪魔、イーリアス=チェウシュルク。


ロトは台座ではなく、床に寝そべりながら本を読んでいた。


「おやおや、クーリエちゃんに続いて今度はイーリアスちゃんかぁ。美人に二人も会えて、今日はもうここから出なくてもいいやあー」


「いつも出てないではないですか」


イーリアスは顔色一つ変えず、ロトに近づいていった。


「ロト様、第三聖府が消失したという噂を聞いたのですが…本当なのですか?」


(何故こんなにも悪魔達は噂が伝わるのが早いんだ…)


ロトはうんざりしたような顔で答えた。


「そうだとも。だがそれが何か?」


イーリアスは舌打ちをしたようにも見えた。


(怖い女だなぁ…)


ロトは思った。


「第三聖府の情報は、潜入班からの情報なんですよね? その後潜入班から連絡はないのですか?」


「うん~。無いよ。まあこちらからしようと思えば出来るけどねー」


ロトは挑発するかのような口調で言った。


(こいつ、苦手なんだよねー。クーリエちゃんと違って忖度してるみたいで。クーリエちゃんはまだいい子なんだけど…こいつはなぁ…)


「消失した原因は分かっているのですか?」


質問ばっかだなぁ。


「まだだよ。調査中~」


ロトはそろそろ帰ってほしいと思い、こんなことを言った。


「気になるんなら調べてみればー」


イーリアスは挑発に乗ってしまった。


「わかりました。部下達とともに調査に行ってまいります」


扉が開き、閉じた。


ロトはやっと出ていったか、と思った次の瞬間。


「ちょっと待てよ? 調査に行くって言ってたか? おいおい…僕自身が面倒なことにしてしまった!」


ロトは、台座の横に置いてある黒電話のダイヤルを回し始めた。


(早いとこ原因究明を求むよ!!)


✱✱✱


かつて第三聖府だった場所。


そこには五人の人影があった。


その中の一人、一本の角を生やし、無精髭も生やしたベテランそうな悪魔。


潜入班(監視班)隊長、ペインは言った。


「まるで砂漠のようだな」


ペインは潜入班の四人と共に、第三聖府への監視を命じられていた。


「遠くから見たら、城壁が見えましたよねぇ? 」


潜入班の一人が言った。


「ああ。こんな結界張ってまで、人間は何がしたいんだろうな…」


いや、何かを隠そうとしているのか?


何はともあれ、調査を続けるのみだ!


「隊長!これを…」


「あ? これは?」


部下の手にあったのは、剣先から柄までが真っ赤に染まった短剣だった。


「なんすかねぇ…これ」


部下は不思議そうに短剣を眺めた。


「血…じゃないですよね…? 」


「わからないが…人間は…何をしようとしてるんだか…」


俺にはさっぱりだが…もしかしたら──


ロト様などなら、分かるかもしれないな…














新キャラと言っても、名前だけとかばっかでしたね…(笑)



次回では協力者、クドラクにクーリエちゃんが会いに行きます!


よろしくお願いします!


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