プロローグ
初めての投稿ですが宜しくお願いします。
投稿ペースはどうなるかわかりませんが、がんばります。
真っ黒な大地にそびえ立つ、巨大な城。
魔王城である。
いわゆる、悪魔サイドの者達が働いている。
いつか来る勇者との対峙に備え、城の中では悪魔達が今日も走る、走る。
「監視班との連絡はどうした!」
「はいっ!先程連絡がつきました!只今、聖府が目前とのことです!」
「なるほど…あのあたりか。ご苦労」
この偉そうな悪魔は、クーリエ=シヨォン。
ショートカットに、二本の角を生やし、小さなシルクハットを被っている。
真っ黒なスーツが、クールさを醸し出している。
悪魔には偉さの階級があり、悪魔六階級の中の三階級目の、『幹部』レベルの悪魔である。
ちなみに聖府とは、人間界にある人間たちの暮らしている街のようなもので、第五聖府まで存在する。
「クーリエ様。ロト様がお呼びでございます」
タキシード姿の眼鏡をかけた悪魔が言った。
「ロト様が?わかった。すぐ行く」
ロト様が私を呼び出したということは…。
もうじき始まるということか。
『第3回勇者選抜試験』が。
その後ろで、クーリエの部下達がコソコソ何かを話していた。
「クーリエ様って、クールで美人だよなぁ」
「まあな。でも俺はイーリアス様の方が推しかなぁ…」
そんな話を小耳に挟んだ先程の眼鏡悪魔は、
(クーリエ様に決まっているだろう!!)
なんてことを考えていたということは、ここだけの話。
──魔王城 深部
「いやあ、よく来てくれたねぇ。久々だな、クーリエ」
台座に座っている悪魔こそ、ロト=ヴェローナである。
階級は第二階級目、『首領』クラスである。
彼が発している禍々しいオーラとは正反対に、彼の口調はどこか気が抜ける。
「お久しぶりです。相変わらず脳天気そうで何よりです」
「それは褒め言葉として受け取っておくよ。レディにそんなことを言われるのは、少し悲しいけれどね」
「悪魔にレディもジェントルマンもありませんよ。あるのは賢いか、ずる賢いかです」
うまいねぇ、とロトは言った。
「そんなことはどうでもいいのでは?私をお呼びになった用件はなんなんです?てっきり勇者選抜試験のことかと…」
ロトは気難しそうな顔をして言った。
「試験は僕の話とは全然関係ないよ。監視班からの連絡だ。大変危険な状況なのだよ」
「監視班?先程部下から情報は聞きましたけど、どこがですか?」
聖府目前だということだったな。
「彼らは、聖府に…到着した」
「へぇ、意外と早い到着ですね。そうか、最新情報はロト様を通じて届くんでしたね」
ロトは一呼吸おいてから言った。
「彼らの向かった第三聖府だが……」
溜めるなぁ…。
クーリエはそんなことしか考えていなかった。
なんだろ?
まさか人間たちにバレた?
それは無いな。
彼ら監視班は、エリート揃いで有名だからな。
なら──なんだろ?
「どうかしたんですか?」
早いとこ言ってほしいもんだ。
だがそこでロトが口にした事は、クーリエが予想していた事より大きな問題だった。
「────」
「は?」
クーリエはロトのことを上司とは思ったことがなかった。
しかし立場上、いちお敬語を使わなければならない。
仕方なくロトに対し、敬語を矯正したクーリエがでさえ、敬語を忘れてしまうくらい驚愕な出来事。
それは魔界、人間界をも揺るがす事件の始まりに過ぎなかったのだ。
それは──人間たちの、禁忌の末路であった。
次から本編です。
クーリエの聞いた内容が明らかになります。
人間界のほうも少し出したいと思っています。
よろしくお願いします。