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逃避と回帰

「おおっ伊之助! 戻って来てくれたのか!」

 佐太郎は敵に体当たりして叫んだ。


「お前たち、小春さんにちょっかい出さなかっただろうな?」

「お前その事で許嫁に絞め殺されかけたそうじゃないか」

「佐太郎、なんで知っている?」

「白狼さんに教えてもらった」

「それでも俺が小春さん派筆頭である事に、変わりはない!」

「いいのか。また絞め殺されるぞ」

「ふっ、それはそれ、これはこれだ」


「ちょ、お前たち! 今それどころじゃないだろ!」

 才可が叫んだ。


 起き上がった敵が、脇差を抜いて伊之助に襲い掛かって来た。


 佐太郎が間に入った。

 突き出された脇差を持つ手首をつかみ、同時に身をひねる。


 敵の体が宙を舞い、地に落ちた。


 すかさず小太刀を抜いて、敵の具足の隙間に差し込み、抜いた。

 刃が赤く染まっている。

 小太刀を口にくわえ、敵の槍を奪った。


 他にも敵がいる。血に飢えた徳川の兵たちが、襲い掛かろうとしている。

(お佳代さんは無事逃げたようだな。よし、存分に戦ってやる)


 その時、「みんな、早く逃げてぇ!」

 香鈴の声が遠くに聞こえた。

 本丸の崖上から必死に声を張り上げていた。


「頼斗ぉ、あんたが死んだら天国の母御が悲しむよぉ!」


 頼斗はハッとした顔をしている。

「よし逃げよう。才可、炸裂玉を」

「ああ」

 手にしていた炸裂玉を投げようとした。


「貸してくれ。俺が投げる」

「分かった」

 頼斗は思いっきり炸裂玉を投げつけた。


 激しい炸裂音に敵がたじろぐ。

 全員一斉に走った。

 頼斗は仲間に追いついて言った。


「才可、もう一つ!」

「おい、気軽に使うな。これ作るの結構大変なんだぞ」

「いいから、ほら早く!」


 再び炸裂音が響いた。

「あっははは。面白いな、これ」

 涙を流しながら、頼斗は仲間と走った。


「おい、佐太郎、頼斗に何かあったのか」

「あとで話すよ。急げ、伊之助」


 本丸への城門はもうすぐそこだ。

 槍ぶすまを作った朝比奈兵達が厳重に守っている。


「相模衆! 早く入れ!!」

 切迫した声が飛んできた。


 お佳代たちが門の向こう側に居るのが見えた。

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