助太刀
その夜、武装した福島六左衛門が従者を引き連れ訪ねてきた。
明日、夜明け前に、城の兵半分を率いて、北東にある天王山に入る予定になっている。
「すまぬな、雨宮殿。ちと頼みがあってな」
主水の背後から、香鈴と銅馬が顔を出した。才可たちは中で聞き耳を立ている。
「わざわざご足労でござる、お呼び下されば出向いたものを。して頼みとは」
「うむ、貴殿らがお持ちの、種子島を借用願いたい」
中から笑い声が漏れた。
(ぶっ、鉄砲の事、種子島だって!)
(古いな。いつの時代の言い方だよ)
(年寄りくさく聞こえるんすよね。種子島って)
「お前ら静かにしろ!」
主水は中に向かって怒鳴った。
「お安い御用でござる。一緒に撃ち手もお貸し致そう」
「えっ!」
八弥と笹助の顔色が変わった。二人とも軍に混じっていくさに参加した経験はない。
(お前らが笑うからだぞ)
(お前も笑っていた、八弥)
笹助がぼそりと言った。
「では、防具を二名分お貸しいただけませぬか」
「ありがたい。誰か用意いたせ。なるべく良い物を持って来させよ。急げ」
「では六左衛門殿。用意でき次第、合流させます」
「お頼み申す。では」
出撃準備で城中は慌ただしい。
敵に気付かれぬよう、篝火は最低限にしてあるため、いつもと同じくらいの暗さだ。
「おお、甲冑じゃねえか!」
防具が届いた。他に足軽用の軽装備などいくつかある。
「着るの初めてなんだよな」
「俺たちが手伝ってやるよ」
二人の甲冑武者が出来上がった。
「重いな、これ」
「侍たち、よくこんなの着て動き回れるよな」
「二人ともカッコいい! とても良く似合ってるよ」
「え、香鈴さん、本当に?」
「うん、本当、本当。」
二人ともまんざらでもなさそうな顔をして頷き合った。
「でも、俺たちは動きやすい方がいいんだよな・・・・・・」
折角の甲冑武者がたちまち足軽兵に変身した。
「では六左衛門殿のところまで送って行こう」
「主水さん、どの程度やったらいいんですか」
「うむ、朝比奈衆に協力する姿を見せればそれでいい」
「あちらの指示に従えばいいんですね」
「そうだ。なに、いざとなれば鉄砲を捨てて、逃げて帰ってこい。俺たちは風魔だ。いくさに命を懸ける必要はない」
二人は頷いた。




