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新たな戦いの前

 城内では決起集会と言う名の食事会が開かれることになっていた。


 戦いを前にして結束を強めようということらしい。

 交代で参加するようにとの事なので、まずは主水が、香鈴と虫丸それに頼斗を伴って本丸に向かった。

 決起集会は大広間で行われている。すでに大勢集まっていた。


「お、相模の客人が来たぞ」若い侍が声を上げた。

 これまでの積み重ねもあり、朝比奈の者たちは皆、友好的である。


「あたしたちは客人じゃないよ。あんたらの仲間だよ」

「香鈴どの、どうぞこちらへお座り下さい」

「いやいや、こちらへ」

(香鈴さん、人気があるっすね)

(そうだね。怒ると怖いんだけどみんな知らないんだよね)


 主水以外は、若い者ばかりで固まっているところに座った。

 良家の子弟とそうでない者は更に座が分かれている。

 この時代それは仕方のない事だ。

 足軽級の若者は、すぐそばの屋外で座を開いている。

 風魔の若者も相模では足軽並みかそれ以下の扱いである。


 早速座が盛り上がっている。香鈴のいるところだ。

 先日の戦いで朝比奈軍に損害を与えた、鹿の角の、徳川の大男の話しのようだ。


「そうなのよ。その鹿つの左衛門がね、」

「え、鹿つの左衛門っていうんだ、あの侍」

「ううん、勝手に名付けたの。でね、馬ごとひっくり返った時の顔がね、ほら虫丸やって」

「え、またやるんすか」

「だって面白いんだもん」


「ところで香鈴さん、奥方様の侍女たちは来ないんでしょうか」

 朝比奈の若衆が尋ねた。


「そうだった。お初さんと小春さんに、料理を分けて持って行ってあげる約束してたんだ」

「それなら、俺の皿から一品」

「俺からも」


 朝比奈衆が次々に更に一品ずつ乗せてくる。


「あの二人、こんなに食べられないよ」

「いいから、いいから。余ったらエンマが食べてくれるよ」


 香鈴は山盛りになった三方を運ぶことになった。


「香鈴さん、俺が運ぶっすよ」

「いいから。あんたたちはしっかり食べてなさい」


 香鈴は山盛りの料理をこぼさぬよう、そっと三方を持ち玄関を出た。

 今川居館はここから近い。


「香鈴殿、拙者がお持ち致そう」

 玄関を出たところで声を掛けられた。


(ん、こんな人いたっけ?)


 背が高い美男子。身長は主水と同じくらいだ。着ている物から見てそこそこの身分と見える。


「拙者、新野甚五郎と申す者。ここでは新顔でござる」

「あ、あ、あたしは、相模から来た、香鈴、ですっ」

「よく存じておりますよ。香鈴殿はここでは有名人でござるからな」


 甚五郎はにこりと笑顔を見せた。

 香鈴はくらりと目まいがした。

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