表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/91

転換

「みんなの意見を聞きたい」


 十人の風魔と白い犬が一匹、円になって座っている。

 朝の光がまぶしい。


「俺は姫の為に働きたい。そう思っている。みんなはどうだ」

「待ってましたよ、その言葉」

「さすがは主水さん」

「異議ないっす」

「みんな、いいんだな。さっさと仕事を済ませて里に帰るつもりだったが、しばらく腰を据えようと思う。そこでだ」

「はい」

「近々徳川がまた攻めてくるはずだが、姫の身を守ること。これが第一」

「もちろんです、主水さん」


 昨夜の一件で主水以下、皆姫に心服してしまっていた。


「うむ。第二に、日々集まってくる情報を姫にお伝えすること」

「第一は分かりますが、第二はなぜですか」

「賢いお方だと分かった。多分最善の判断をされるだろう。その為だ」

「あたしが連絡役ね。ちょっとエンマ、じっとして」

「そうだ。よろしく頼んだぞ」

「第三に、これを小太郎のおやじに伝える。誰か使いを頼む」

「俺かな」


 伊之助である。この中で一番足が速い。


「早速今から行きましょうか」

「まあ、慌てるな。第四がある。徳川来襲に備えて援軍が要るはずだ。援軍要請の手紙を氏真様に書いてもらう。それを持って行ってくれ」

「それが無いと援軍寄越してくれないんですか」

「そうだ。それが大義名分というものだ」

「書いてくれるでしょうか」

「直接という訳に行かん。小倉様へ相談するつもりだ」


 皆むっつり顔と引き眉を思い出した。


「心配するな。それは俺がやる」


「こらエンマ、舐めないの」


 掛川城では犬を飼っている。朝比奈家の犬だ。体の大きい白い雌犬である。普段はおとなしいが、見知らぬ者には牙をむく。以前にも間者らしき不審な人物を噛み殺したらしい。

 城内ではエンマと呼ばれているが、恐れて近づく人は少ない。

 風魔の者たちにはすぐに心を許した。特に香鈴に対しては非常になついている。

 賢い犬で、城内の者たちの顔を覚えているらしい。城の皆に対してはおとなしいのだが唯一例外がいるらしい。今川氏真である。

 姿を見かけると、なぜか唸り声をあげて威嚇するらしい。


「この間も散々追いかけ回して、今もお尻に嚙み跡が残っているらしいですよ」

 銅馬が城兵から聞いた話しだ。


 遠く、風が潮のにおいを運んでくる。

 主水はふいに舎利奈を思い出した。


 期限の三日はとうに過ぎていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ