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諜報

 年の瀬が近い。


 例年であれば、正月の飾付や新年の行事で掛川城内は賑やからしいのだが、今年は様子が違っていた。

 先日の徳川軍の来襲で多くの人が死んだからだ。


 風魔党は遺体の埋葬や葬儀の手伝い、城壁の補強などに積極的に取り組んできた。

 地味な仕事の積み重ねが信頼を得る近道だからだ。

 情報を得る為の諜報術でもある。


(できればこいつらに、風魔の里で新年を迎えさせてやりたいのだが……)


「みんなご苦労、何かいい情報はあったか?」

「徳川が次いつ来るか、みんな気にしてました」

「そうだろうな。他には?」

「高天神城が寝返ったそうです」

「ふむ、やはりそうか。他には?」

「敵の大将だった奴は石川家成って言うらしいです」

「ほう、最高幹部の一人だな。他には?」

「……」

「どんな小さな事でもいいぞ。世間話しの中に重大な情報が隠れていたりするからな」


 その他は、「二人の侍女、お初と小春が若い城兵の間で大人気で、二人の話しで俺たちと意気投合した。」という他愛のないものだった。


 万一姫を連れ戻せなかったとしても、何かしら貴重な情報を持ち帰る位の事はしなければならない。

 その日は特段、これと言った情報は得られなかった。


 翌朝、今川氏真直属の家臣だと言う男が訪ねてきた。

 小倉且久と名乗った。

 尊大な態度の男だ。

 命令口調で話すのが、主水には滑稽に感じられた。


「その方らの中で、虫の音を奏でる者がおるであろう。御屋形様がいたくお気に召されておる。ご所望じゃ、今夜披露しに参れ。ただし朝比奈衆には内密にいたすよう」

「承知いたしました」


 断る理由も無いし、姫君と接触できるかもしれない。


「そういう訳で虫丸、よろしく頼むぞ」

「あの、音曲も有った方が、いいと思うんすけど、どうっすか」

「お、いいな。頼斗、出番だ」

「任せて下さい」


 頼斗は笛が上手である。風魔の里でお祭り行事があるときは、奏者として毎回選ばれている。

 早速竹を用意し、節を取って横笛を一本作って見せた。

 他の者は才可を残して作業に出かけた。


「いいな、頼斗は楽器ができて」

「才可は火薬の調合が上手いじゃないか。俺はうらやましい」

「戦いの時くらいしか役に立たないけどね」

「そうだ、動物の皮が手に入らないだろうか」

「何に使うんだい」

「小鼓を作ろうかなと。才可、手伝ってくれよ」

「頼斗、お前そんな事までできるのか。すげえな」


 更に即席の小鼓を二つ用意し、夜を迎えた。

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