詩 まとめ
「壊れた記憶」
夜明けの懐中時計
朝露に透ける花の表情
白く体温を保てなくなった君
それら全てをこの腕の中に閉じ込める
僕が好きだったもの
否、好きであるものを閉じ込める
時間の流れを止めて
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「不眠」
時間の流れがゆらゆらと体を揺らす
なんとも言えない浮遊感に
私の意識は沈んでくれない
何度も潜ろうと試みるが
身体に重みを感じることなく
浮かび上がる
意味のない空間に漂う
ただそれだけのことが恐怖で
瞼の奥まで透き通るような黒に
憎悪がざわついているような気配がして
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「星の行進」
鋼鉄の帆を張り
舵をめいいっぱい切る
轟々と重い機械の音を響かせ
巨大にうねり狂った砂漠を抜けると
既に陽の日差しは東から西へ沈んでいた
数え切れない程の光で空が染まれば
頭上に浮かぶのは動物たちの影
しだいにその影たちは
東から西へと行進を始める
その行進をじっと
吹く風の音さえもしない
その行進をじっと
息をすることさえも忘れて
その行進をじっと