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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第二章 この異世界より覚悟を決めて
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第2章 58話 スケジュールの合間の幸運

「さてと、私はそろそろ行きますかっと、そろそろスケジュールが詰まってきそうだしね」


 やっと、シャルロットは俺から立ち上がってくれた。ってスケジュール?


 「スケジュールって、何の事ッスか?」


 「ん?私これからあの遠くに見える町でライブなのね。んでその後、爆破解体の工事に行くの。そろそろプロデューサーさんと、メンバーが来る頃だと思うんだけど...あ、あの車ね」


 見ると、あの町の方から小型のバスがこっちに向かってくるのが見えた。なんでこんなところに一人でいるのかと思ったら、送迎かよ。


 「なぁ、ちょっと聞いてもいいスか?」


 「なぁにぃ?」


 「あんた、仕事は何やってるんスか?」


 さっきから不思議に思っていた。こいつの仕事は建物の爆破解体がメインじゃない。この格好とかどう考えても...


 「メインはアイドルだよぉ?王国軍のイメージアップの為にね。そんでもって副業として色んな所の老朽化した建物の爆破解体の為の計算とか爆弾作りを請け負ってやってるのね」


 詳しく俺は話を聞いた。『爆破部隊』というのはグループ名で、この世界ではかなり有名なアイドルグループらしい。


 そして何故王国軍所属なのかと聞くと、ダイナマイトを発明したとして、軍の上層部に声をかけられ引き抜かれたらしい。それでその後三上とアレックス前国王の提案で、いっそのこと軍にアイドルグループを作ろうという事になり、今に至るという。


 「へぇ。アレックスさん、あの人本人はすごい穏やかな感じの人何スけどねぇ。話を聞けば聞くほど結構破天荒な感じッスね」


 


 しばらくしてバスが来た。そしてまだ若い二十代半ばのスーツ姿の男が降りてきた。


 「どうやら、終わったみたいですね。シャルロットさん。では行きますよ、では皆さんも、この先の道中気をつけてください、健闘を祈ります」


 少しせかせかした感じの男は素早くこっちにお辞儀をして車に乗り込もうとした。


 「あ!済まない!少し待ってくれ!」


 すると突然、サムが彼を止めた。


 「?」


 「申し訳ないが、あの町まででいい、我々をあそこまで送ってくれるとありがたいのだが。私たちの乗っていた車、倒れた衝撃でエンジンがいかれてしまったらしいんだ」


 サムの言葉にシャルロットは「うそぉ!」とこれは予測できなかったと言いたげに叫んだ。


 「なっ!?...はぁ、そうですか。うちのシャルロットが申し訳ありません。仕方ありません、あの町まで送りましょう。えっと、八人ですか?その人数ならば乗れそうですね。ですが我々はあの町の後、オーシャナ地区方面に向かいます。あなた方とは逆方向になってしまいますね。申し訳ありませんがあの町まででご勘弁ください」


 男は少し考えたが、快く承諾してくれた。というかあの車壊れちゃったの?


 「かたじけない、新しい車ならあの町で探すことにするよ、イーサン、あんたも大変だなあちこち飛んで」


 なんだ、サムとこのイーサンって人は知り合いか。


 「そうでもないです、結構この仕事も楽しんでますよ。では、皆さん乗ってください。あ、道中あなた方の世界について教えていただけませんか?異世界というものがどういうものか聞きたいのです」


 結構気さくな人だな。パッと見は堅物っぽいけど、結構緩い感じだ。




 俺たちは、壊れた車の中から荷物を取り出し彼のバスに乗り込んだ。因みにあの車は後で回収してもらうように、連絡をシィズが入れてくれた。


 バスはこの地を出発した。バスの中には俺たちのほかに、イーサンとシャルロット、あとメンバーらしき二人が乗っていた。イーサンは運転しながら俺たちに話しかけた。


 「改めまして、わたくしの名前は イーサン ピークシードと申します。アイドルグループ『爆破部隊』の一応プロデューサーなんかをしております。そしてこの二人ですが、この青い服を着たのが、シャンデラ グロリオサ。そしてこのオレンジの服の方がアリア スターティスです。一応シャルロットがこのグループのセンターなんですが、実質は彼女がリーダーをしています」


 『よろしくお願いいたします』

 

 二人同時に丁寧にあいさつしてくれた。


 「はぁ、どうもッス...」


 今思うと、アイドルと同じ車に乗ってるのか、結構緊張してきた。麗沢なんかも俺と同じだ、というか完全に固まってる。さっき容赦なく吹っ飛ばしてただろうに。


 俺たちは道中、いろんな話をして盛り上がった。俺たちの世界の事、こっちの世界に来てからの事、色々話した。いつの間にか、さっきまでの戦いが嘘のようになってきた。シャルロットも、心なしかより明るく見える、今まで少し無理して振る舞っていたような気がする。その無理が消えた。


 「へぇ~。行ってみたいなぁ君たちの世界、陛下はこことあんまり変わらないって言ってたけど、今聞いたら行ってみたくなっちゃったなぁ」


 なんだか、性格も少し幼くなってきた気がする。これが素のシャルロットなのか、目が輝いてる。


 そんなこんなで、すぐに町に着いた。そこまで発展はしていないが、結構活気にあふれた町だ。もともとはオアシスがあり、そこを中心にこの町が出来上がったらしい。


 「お話、ありがとうございました。では我々はこれで、あ、サムさん。先ほど車をを借りると言って申していましたが、この町にはレンタカー屋は無いですが、何かあてでもあるのですか?」


 「あぁ、さっきから考えていたんだが、思いつかない。さっきはとっさに言ってしまったからなぁ...」


 えぇ~、この先はプラン無しかよ。どうしようかこの先...


 「そうですか...あ!そうです!馬はどうですか?確かこの町はまだ自動車の普及はあまり進んでいません。馬車等が主な交通手段です。少しお時間をいただければ用意いたしますよ?なに、こちらの予定は少し時間が余っているので、それに困っているのなら、助け合いです」


 馬!?乗ったこと無いや、でもそれしか移動手段がないのなら仕方ないか......


 「いいのか?ほんとかたじけない。では、それでいこう。頼めるか?」


 「構いません。それではしばらくここでお待ちください。二十分ほどあれば用意できると思います」


 「いや、ほんとありがとうございますッス」


 俺は感謝の言葉を述べた。バスは何かの建物の裏手部分に停めて俺たちはそこで待機した。


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