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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第二章 この異世界より覚悟を決めて
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第2章 56話 砂漠のバラ その2

 俺たちは、全員そろって麗沢のいる方へ向かった。


 「早くしないと、あの二人だけはまずいかもしれない。シィズはナナ族だ。戦闘はあまり得意ではない。回復専門だ。そしてレイサワ君...彼は、実力がいまいちよく分からないし...」


 さりげなくサム、麗沢ディスった。ま、あいつの戦闘能力に関しては俺もよく分からない。


 そろそろ、ここら辺ぐらいか。麗沢が普通に進んだとしたらここの近くに...いたし。


 「およ?先輩どうしたでござるか?」


 マジか、この様子だと誰とも遭遇してないな。


 「シィズ、なんで普通にここまで来たんだ?桜蘭君たちとグレイシアさんたちのトランシーバは壊れて通信できなくなっている。その場合は元の場所に戻れと言っただろ」


 うん、そう言えばサムの言う通りだよな。俺たちのトランシーバは壊れている。だったらここに普通に来るのはおかしいはず。エルメスとサムの場合は、戻る際中だったみたいだし、どうなってんだ?


 「え?何言ってるのサム?通信は切れたりしてないわよ?というかなんでみんな一緒にここにいるのよ?」


 え?通信が切れてない?ちょ...どういう事だ?なんで


 「まさか、電波ジャックか?シィズさん、ちょっと連絡とってみて下さい」


 睡蓮の提案で、シィズは首をかしげながら周波数を合わせた。


 『こっちは無事ッス』


 俺の声だ。そういう事か、こいつらのトランシーバ、乗っ取られているんだ...ん?まさか、ここまでシャルロットは予想していた?まさか、俺たちがここに全員で来ることも?待てよ、今俺たちが立っているこの場所、妙に広いぞ。そして建物が囲むように並んでいる...


 「はっ!!誰でござるか!!」


 麗沢がある建物に向かって叫んだ。


 「お!やっぱり!ぷよちゃん、やっぱ耳良いんだぁ。君に意識を集中して正解だったね。でも残念、ここまで来たって事は私の勝ちも同然だよぉ?って言うか、イケメン君、怪我大丈夫?」

 

 建物からシャルロットがひょこっと出てきた。


 あ?何言ってんだこいつ。あんたのせいで死にかけたんだぞ?って、え?あの時殺す気は無かったの?俺たちマジで死にかけてたんだけど。そういえば、殺気は全く感じなかったな。だとしたら、殺す気はさらさらない奴に殺されかけたとか、恥ずかしい奴じゃねぇか。


 「お!?先輩その顔の血どうしたでござるか!!」


 今気づいたんかい。


 「ちょ!?初めてあった時みたいになってるじゃない!」


 シィズ、あんたもか。


 「もう治ってるッスケドね!!」


 「ま、いいか!ようこそ私の舞台へ!いやぁ、ここに誘導するのかなり苦労したなぁ。グレイシア様本気で殺しにかかって来るんだもん。慌てちゃったよぉ。ま、そんなことは置いといて、こっからが本番!さ!私を捕まえてごらんなさ~い。今度は逃げないからさぁ!」


 一気に集めてここで一網打尽って訳かい。


 「じゃ、ホイ タラララッタラー!『はへんてりゅ~だ~ん』」


 ドラ〇もん!?この世界にもあるの!?というか、それただの破片手榴弾だろ。見たことあるぞパイナップルって言われてるやつだろソレ。


 「ここで、正しい手榴弾の投げ方!まずはぁ、隠れる!」


 あ!建物の陰に隠れやがった!俺は追いかけようと思ったが、危ない。落ち着いていこう。


 「そしてぇ、安全レバーをしっかり押さえてから、クリップを解除。その後はこの輪っかに指をかけてから目標確認!そしてピンを抜く!目標に角度を調整っと、ここで気を付けるのは手榴弾は意外と重いから投げる時は、肩を痛めないように!う~ん、砲丸投げみたいに投げると良いかもね。そんで目標に向かって投げる!そしてそのまま倒れこむ!!」


 誰に言ってんだ?って言うか綺麗に弧を描いて黒い塊が飛んできた。


 「えっと、確か手榴弾の信管の点火時間は約四秒ほどでござったなぁ」


 何のんき言ってんだ麗沢。俺は地面に銃を撃ちそこの地面を盛り上げ、そこに伏せた。みんな同様に俺の後ろに隠れた。ま、これならこれで避けられるでしょ。


 そして、盛り上げた土の反対側で手榴弾が炸裂した。うわっ、結構うるさい!


 「って、やっぱ隠れたか...」


 案の定、炸裂した後またシャルロットは姿を消した。


 「ほ~らほ~ら、こっちに来ないと私は倒せないよ~」


 逃げてはいないみたいだ。


 「あそこに隠れているのでござるな。仕方ない。挑発に乗ってやるでござる」


 麗沢が声のした方へ向かった。


 「あ!またスピーカーっていう可能性が!」


 「お?今の声は完全な肉声でござったよ?ここに来る途中にスピーカーは見つけたでござる。そこから漏れたぶ~んって音は今どこにも聞こえないのでござるよ」


 あ~、やっぱあん時、麗沢に確認取っとけばよかった。


 「そうか、じゃあ。俺と睡蓮と麗沢で建物に入るッス目、鼻、耳。それぞれの特徴を生かせば今度こそ勝てるッス。みんなは外から見張っててくださいッス」


 「そうだな。危険だが、頼めるか?私たちは外から様子を見る事にする」


 俺たちは、慎重にさっきシャルロットがいた建物に入っていった。今のところ奴の気配はない。麗沢も睡蓮も爆弾を発見していない。


 薄暗い建物の中、全員武器を構え、三方向を確認しながら奥へと進んでいく。


 「ここはクリアでござる」


 隣の部屋に移る。部屋に入った途端、電気が付いた。奥の扉付近にシャルロットがもたれかかって立っていた。


 「さ!次にお披露目するのは、私の思い出の爆弾!小学三年生の時に作ったやつね!ニトログリセリンを珪藻土に染み込ませた世界初の完全安全爆弾!コレの名前は、『ダイナマイト!』って確か陛下が言ってたのね。君たちの世界にもあるらしいねコレ。ほい」


 シャルロットは筒型の爆弾にマッチで導火線に火を着け、ポイッと俺たちに向かって投げた。シャルロットはもたれかかっていた扉を開けてそこに隠れた。


 「そう何度も、爆破させるか!」


 宙を舞うダイナマイト、そこに向かって睡蓮は動き出した。ナイフを取り出し、素早く切り裂いた。ナイフは綺麗に導火線の付け根部分を切り取った。


 「おぉ~!イケメン二号君、やるじゃない!ダイナマイトはダメみたいだね。じゃあそろそろ次の部屋で決着、つけちゃおっか」


 今の言い草、次の部屋ではもう逃げないと言っているのか。そうだな、終わらせてやる!


 「行くッスよ」


 俺は閉じられた扉に手をかけた。これでもかという位に、慎重にいこう、麗沢は耳を澄ませている。扉を開けたら爆破、そういう事もあり得る...どうやら、この扉に細工はないみたいだ。


 「さぁて!こっからが私のステージだぁ!」

 

 なんで、こんなところにライブハウスが出来てんだ?結構広いし、めっちゃ入念に準備してたのかシャルロットのやつ...ステージに立ってスポットライトが彼女を照らしている。


 「みんなも一緒に踊っていこー!」


 ふっ...いいだろう。このライブ、全力で乗ってやる


 「うおーーーー!!」


 「お!いいノリになったじゃん!じゃあ行くよぉ!一発目!点火!」


 シャルロットはステージを飛び手に持っていたマイクのスイッチを入れた。その瞬間、ステージが爆発した。成程、それが点火装置なのか。最初に俺を襲った爆弾はこれか。


 そして俺たちの目の前で着地した。


 「ここの部屋のあちこち時限式の粘土爆弾が仕掛けてあるんだ。全部で八個。八個全部爆破したらここは倒壊するように計算してあるの。あなたたちはこの爆弾を止めれば勝ち。私はそれを妨害する。じゃあ、メインイベント開始ぃ!」


 


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