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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第二章 この異世界より覚悟を決めて
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第2章 50話 平和の為に必要な道

 「平和?」


 アンリエッタ、何が言いたい。日本は平和で有名な国だぞ。


 「あぁそうだ。君たちは、ミカミ陛下のこと以外では、この国をどう思った?」


 今の言い方、まるで...まさかとは思うが、王がどんどん人を殺す理由って...


 「平和だった。みんな三上に怯えてはいたがそれ以外は、平和ッス」


 「その通り!平和なんだこの世界は。それは何故か。陛下という恐怖がいるからだ!陛下から昔、話を聞いた事がある、君たちの世界の犯罪は、一日に五千件以上も発生しているそうだね。二年前のこの国もそれぐらいあった。だが今のこの国はどうだと思う?このアダムス内での一日の検挙数は多くて三百なのだよ!そうだ!皮肉にも陛下の恐怖が、それを実現してしまったのさ!」


 そんな、あいつは、平和の為に人殺しを殺していると言うのか?


 「だとしても!犯罪を減らす為に殺すなんて、おかしいッス!正しくないッス!!」


 俺は認めたくなかった。だから必死に否定する意見を探した。だが、駄目だ。三上を、正しいのかもしれないと感じてる俺がいる。


 「正しい?君はどれをどうすれば、陛下は殺さずに済むと考えるんだ?どの選択が正しいんだ?分かっているのならば、教えてくれないか?」


 くそ...戦いに勝ったのに、なんだ?この歯痒さは...答えが、出てこない。


 「分かったかい?私がこの国に、陛下に忠誠を尽くす理由を。私自身が陛下を正しいと思ってしまっているからなのさ。正直言うと陛下が人殺しを始めた本当の理由は分からない。だけど!陛下がもし負けて、死んでしまったら、この国はどうなる?再び犯罪は増加してしまう。私はそんな堕ちていくこの国を見たくはない!

 君の言う通り、心の奥の私は王の人殺しを正しいとは判断していない。だけど!それで犯罪は減っているんだ!悲しいが、それが現実なのさ!!」


 ...クッソッタレ......ふざけんじゃねぇ。


 「あ゛あ゛あああああああぁぁぁぁぁぁ!!」


 俺は地面に向かって全力で拳を叩きつけた。


 「なんなんだ!!なんなんだよあいつは!!俺たちに何をさせたいんだ!この国を一体どうしたいんだ!」


 俺は銃を持ちなおし、岩に八つ当たりした。後ろから睡蓮が俺を止めに入った。


 「やめるんだ!桜蘭君!暴れるのをやめるんだ!」


 やめられるか!俺は、何のために戦えばいいんだ!みんなを救うだけじゃ、意味がないのかよ!!


 「やめて下さい!!」「暴れないでほしいでござる!」


 零羅も、そして麗沢も俺を止めに入った。だけど、俺の怒りが収まらない。止めたいけど止まらない。





 「ん~~~、あ~~もぉ!!や め な さぁーーーーーい!!!」


 俺は思いっきり殴り飛ばされた。頭がグワングワンする...今。俺を殴り飛ばせれたのは一人だけだ。零羅...え?顔真っ赤にして頬をプクーっと膨らませている。


 「桜蘭さん!アンリエッタさんも、いい加減にして下さい!!この現実がどうしたって言うんですか!確かに、三上さんという恐怖がいるからこの国は平和なのかもしれません!でも、あの人のやり方は正しくない!ここに人達みんながそう感じているのでしょう!?だったら止めるべきです!!

 今、犯罪が少なくなっているのなら、彼を止めた後、その後の犯罪が増えないようにするにはどうすべきか考えるべきなんじゃないですか!?この戦いで全てが終わる訳ないじゃないですか!大切なのは未来です!私たちは平和の為に闘い続けることが一番大切なんじゃないですか!?

 人生は常に勉強です!!常に学び、常に成長する事が、平和への道なんじゃないんですか!!」


 零羅は、吐き捨てるように俺たちに言葉を浴びせた。アンリエッタも面食らっている。いつの間にか二人並んで零羅の前に正座していた。


 「分かりましたか!!」


 「はい...」


 「声が小さいです!!」


 「はい!!」


 俺たちは零羅先生の説教を聞き続ける、ごめんなさい。俺の八つ当たりで怒らせてしまって...


 ・


 ・


 ・


 「ふぅ...とは言っても、わたし自身も成長しなければいけないのですけどね......あ...」


 零羅大先生のマシンガン説教はようやく落ち着いた。零羅は途中から、力が入りこみ過ぎて止まらなくなっていたみたいだ。零羅...三重人格?


 「ご...ごめんなさいぃ!わたし、偉そうな事ばかり言ってしまって!」


 「あ...いや、謝るのはこっちの方だ。君の言う通りだ。いや、ほんとなんというか、私が間違ってたというか...なんというか...」


 アンリエッタの勢いのあるあの喋り方が詰まりまくっている。


 「いえ!別にアンリエッタさんが間違ってるわけじゃないです!あなたの気持ちも分からない訳じゃないんです!...えっと、桜蘭さん!バトンタッチですぅ!!」


 言葉が思いつかなくなったからって、俺に振らないでくれ。


 「まぁ今は、今やるべき事に集中した方がいいじゃないかい?目標を大きく見過ぎると、段階を見失いかねない。まずは、このゲームを終わらそうよ。その先の事は終わってから考えればいいと思うよ?」


 睡蓮...バトンを引き継いでくれてありがとう!


 「そうッスね。ハハハ、さっきまでの真剣な空気はどこに行ったんだよ。俺は考えるのが嫌い!無駄に考えた俺がバカだったんスね!!」


 「ハハハ!!そういえば私も考えるのは苦手だったな!!私らしくなかった!いや~、なんだかすっきりした気分だ!!礼を言うよ!スイレン君!!」

 

 『アッハッハッハ!!』


 俺とアンリエッタは二人して謎の大爆笑をした。


 そうだ、この戦いで終わる訳じゃないんだ。三上をぶっ倒して、その後だ、大切なのは。俺は覚悟を決めなおした。未来への覚悟を...

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