表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第二章 この異世界より覚悟を決めて
80/137

第2章 46話 愛する者の為に死を覚悟する二人 その1

 俺たちの乗った車は順調に、次の目的地に向かっていた。


 「ジョシュからの連絡で、オーシャナ地区のリーダーが分かった。ベアトリーチェ ブルーベルだ」


 サムの言葉で、二人が反応した。エルメスとグレイシアだ。


 『リーちゃんが?』


 リーちゃん?あだ名か?


 話をエルメスに聞いたところ、ベアトリーチェは、エルメスとグレイシアが大学時代の後輩だった人物らしい。


 「はぁ...あいつが相手ねぇ...これは荒れるかも...」


 エルメスが大きくため息をついた。


 「荒れるって、そのベアトリーチェさんと何かあったんスか?」


 「いや、あいつ、レイのストーカーなのよねぇ」


 はい?ストーカー?三上の?俺はもうちょっと詳しく話を聞くことにした。


 「レイのやつ、見た目結構子供っぽいだろ?それに身長も小学六年生位しかないし...あいつ、この国を征服する前は家電の修理をやりつつ、それでいて、バケモノの研究の第一人者でもあったんだ。だから、私たちが通ってた大学の研究室にもよく来てて、なんだかんだ人気があったんだよ」


 ふむふむ、家電修理って、今のあいつを見ると想像できない仕事だな。


 「リーちゃんは、そこでレイに一目惚れしてね、それ以来、ず~っとレイの後ろをつけてたんだよねぇ。だけど、空気読めないグレイシアが先越してレイに告白しちゃったんだよ ねぇぇ」


 エルメスがじーっとグレイシアを睨んだ。当のグレイシアはというと...


 「え?リーちゃんもレイの事が好きだったの?」


 あ、これは荒れるわ。ふと、エルメスを見ると、「ね」と俺にアイコンタクトを送ってきた。俺は頷く事しか出来なかった。


 次の戦いは、俺たちの出る幕じゃないかもしれないな。さっき体動かした意味がない。


 


 そうしているうちに俺たちは、ベアトリーチェの待つ街についた。割と大きい街だ。見たところ、海産物が特産品と言った感じか?漁船も港付近にいっぱい停泊してある。車は街の中を進んでいき、適当な駐車スペースにとめた。


 「ふぅ...ようやく着いた!」


 俺は体を伸ばした、磯の香りが少し来る。俺は築地にちょっと行った時の事を思い出した。あそこもこんな匂いしてたなぁ。魚の匂いというか海鮮の香り。


 さて、ん?何か視線を感じる。俺は後ろを振り返った。どうやら、早速のお出ましか。


 「やあ!グレイシア先輩!久しぶりですね!」


 爽やかにグレイシアにあいさつしたのは、でっかい盾を携えた女性だった。


 「あ、リーちゃん。久しぶり」


 グレイシアは普通に返事を返した。今のところ、ヤバい感じにはなっていないが、ベアトリーチェから、なんというか、ドロッとした何かを感じる。殺気に似ているような、そうでないような。


 「ねぇ先輩、レイ様と別れたんだって?」


 「別れたというか、レイを裏切った?正しい言葉が分からないね」


 「そう、そんなことはどうでもいい。あたし、あんたが結婚する時に言ったわよねぇ。レイ様を悲しませたらただじゃ置かないって、さ...」


 あ、ヤベ、そろそろ後ろに下がってようかな。俺はススス~っと後ろに下がった。


 「何でレイ様こんな奴と結婚したのよぉぉぉ~!!あたしの方が絶対に幸せに出来たのにぃ!!」


 うわっビックリした。急にでかい声出さないでよ。体が跳ね上がったじゃないか。


 「殺す、殺してやるぅ…レイ様、見ていてください。あなたはこんなあたしをリーダーにして下さった。復讐のチャンスを下さった。今、こいつを滅ぼして、あなたの元に行きますわ!」


 こ、怖ええぇぇぇ!!病んでるよこの人、ヤンデレってやつだよ。下手すりゃ三上も殺すって言いかねないよこの人。俺は更に後ろに逃げた。だが、グレイシアは前に出た。


 「全く人の話を聞かない...相変わらずだね」


 ベアトリーチェは、盾の尖った部分をグレイシアに突き刺そうとした。だが、グレイシアは氷の剣を作り出し受け止めた。そういえばベアトリーチェが騒いでたせいでよく聞こえなかったが、グレイシアが何か言いたそうにしてたな。途中で諦めた感じだったけど。


 「へぇ、あなただけが前に出たのねぇ。つまり私と殺りあうって気があるって事ね!いいわ!勝負と行きましょ!命を懸けて!」


 「...」


 ん?今、グレイシアなんて言った?それより、グレイシアが戦うのかぁ、もうちょっと下がった方がいいかな?





 同じ人を愛した者同士の闘いが始まった。


  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ