第2章 36話 突然やって来たファンタジー
俺は車の中で若干眠かったから寝ていた。そして目を覚ます、空が白んできていた。このゲーム、始まってからもう九日目になるのか、そんなことを考えながら、外を眺めた。車は、まっすぐ伸びた道路を走っている。周りは草原だ。あ、ヤギみたいなやつがいるなぁ。俺はそんな感じでのんきに外を眺めていた。しかし、目を疑う光景が入ってきた。遠目から見たら、馬がいるなと思って見ていたが、よく見ると、その馬の額から長く伸び尖った角が生えていた。あれは、俺の記憶が正しいのならあれは...
「ユ...ユニコーンだあああああぁぁぁぁ!!!」
俺が思わず叫んで、みんな飛び起きた。
「な...何事でござりありますか!?」
「麗沢、外、外!!」
俺は、言葉が上手く出ず指を指すことしかできない。
「およ!?ユニコーンだあああああぁぁぁぁ!!!」
麗沢も俺と同じ反応だった。
零羅も睡蓮も、口をポカーンと開けてその生き物を見ていた。
「ビックリさせないでよ。なになに?あ~、一角獣ね。珍しいっちゃ珍しいけど、なんでそんなに驚いてるの?別に農場行けば結構いるものだよ?」
シィズは、まるで只の馬を見るような反応しかしていない。え?どゆこと?
「あっ、そういえばレイも昔、一角獣見て腰抜かしてた。あなたたちの世界では珍しいの?」
グレイシアの言葉、俺は思い知る事になった。そうかここは異世界なんだ。ファンタジーだったんだ。
「じゃああれも珍しいのか?」
サムが別の方向を指さした。そこにはまた馬らしき生き物がいたが、なんでかな、翼が生えてる。あれは...
「ふぁっ!?」
「ペガサス...ですよね...」
「ペガサスだな」
あまり喋らない睡蓮が口を開いた、というか開きっぱなしだ。俺もだわ。
「天馬、やっぱり珍しいのか、と言うか君たちの世界では『ぺがさす』と言うのか?」
「いや、珍しいなんてものじゃ無いッスよ!もはや架空の生き物ッスよあれ!」
まさか、こんな展開で来るとは、予想もしていなかった。
「もしかしてッスけど、ドラゴンとかもいたりするんじゃないんスか?」
俺の質問にサムはキョトンとした。
「え?ドラゴンなら私の実家で飼ってるぞ?」
え?マジ?冗談で言ったんだけどな。え?マジで!?
「写真が確か...あった、コレだ。可愛いだろ?」
俺は写真を見た。四脚で、大きな二枚の蝙蝠翼に、爬虫類に近い顔つきと、固そうな鱗。予想より大きくはないがそれでも人間の背丈位はありそうだ、まさに、ドラゴンだ。
「こいつは昼寝が大好きでな。よく家の庭で日光浴をしていたよ。あ~、また会いたくなってきたな」
あれ?サムの顔、今までにない程ほぐれてる。シィズが小声で俺に話しかけた。
「サム、大のドラゴン好きなのよ...」
へ~、俺は気分転換にもと思い再び外を見る。あっ羊だ。でもその隣にはユニコーンの子供のようなものが...俺の知ってる話だとユニコーンってプライドの塊みたいなやつじゃなかったか?なんか...羊とユニコーンが一緒に遊んでるように見える...
俺はまだまだこの世界を知らないのか。頭が、こんがらがるわ...