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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第二章 この異世界より覚悟を決めて
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第2章 35話 旅の目的は、それぞれが秘める覚悟

 零羅は思いっ切り泣いた。今まで抑え込んでいたものを一気に出し切った。そしてようやく落ち着いたみたいだ。


 「みなさん...本当にありがとうございます。わたし、決めました。わたしはこの旅を続けます。何故この世界に私が来たのか、それはまだ分かりません。しかしこれは、私に対する試練と思う事にしました。みなさんと一緒に旅を続けることでその答えが見える気がします。そして絶対に、暴走するわたしを止めて見せます!」


 零羅はそう意気込んだ。


 「しかし、三上は一体何がしたいんスかねぇ。あいつの言い方、まるで俺たちに強くなってほしいみたいに聞こえたんスよね。零羅と戦ってた時もやけに楽しそうだったし、あいつの目的は一体何なんだ?」


 俺は、零羅の意気込みを聞いて更に疑問が深まっていた。三上はまるで、子供の様な笑顔で零羅と戦っていた。だが俺は、微妙に違和感を感じた。彼には殺気が無かった。むしろ逆だ、零羅を救う為に三上は、零羅と戦っていたように感じた。これは気のせいだったのか?


 「多分それで合ってる。レイはあなたたちを強くしたいんだと思う」


 答えたのはグレイシアだ。そうなの?


 「それってどういう...」


 「サクラ、君はレイと戦ったことがあるでしょ?その時はまるで歯が立たなかった。そしてレイラと戦った時も、彼女が自我を失って戦っても、まだレイには及ばない。レイはただ、このゲームを楽しみたい。それだけなんだと思う。だから、自分と同じくらいの強さにあなたたちをさせたいんじゃないかな、彼、結構フェアプレーが好きだから」


 あ~、成程ね。流石は元、妻だ。一番納得がいく。今までの三上の行動、思い出しても行きつくのはやっぱりこれしかないし。三上は、ただ遊んでるだけだ。俺たちはそれに巻き込まれている。それだけだ。


 「こんな時に聞くべきじゃないのは分かるんだけど...グレイシア、あんたの本当の目的は何なの?」


 今度はエルメスがグレイシアに質問をした。そういえばエルメスはグレイシアの事を疑ってたんだったな。確かにこの状況で質問する内容ではないな。だけど、今しかないか。


 「あんたは、本当にレイの奴を倒すために私たちに協力してるの?前から思ってたんだけどさ、グレイシア、あんた今でもレイの奴の事を愛してるだろ」


 この質問、さすがのグレイシアも表情を僅かに変えた。これは、図星だな。


 「だってそうだろ?あんたが何か話すときは、レイの奴の事をまず出してくる。まるで、奴を慕っているかのように、それって今でもあいつの事が好きだからじゃないのか?だから。答えてグレイシア、私は本当のあなたの気持ちを知りたい」


 今のエルメス、なんかかっこよかったなぁ、じゃないや、これは俺も少なからず感じていたことだ。仲間として俺はグレイシアを信じたい、だが、一緒に旅をするのなら、隠し事は極力無いほうが絶対に良い。

 

 「ふぅ...エルメス。嘘を見抜くの、上手くなったね」


 グレイシアは軽く息をはいた。彼女の目的、ようやく分かりそうだ。


 「そう、私は今でもレイを愛してる。だからこそ彼を裏切った。本当の事を言うと、レイが裏切れと私に言った。そして、レイを倒すために、あなたたちに協力しろと、この言葉せいで、私はどんどんレイが分からなくなった。今のレイは何かがおかしくなっている。だからこそ、絶対にレイを止めると決めた。レイに言われたからじゃない。私は、私の愛したミカミ レイを取り戻す。たとえ殺す事になったとしても、絶対に取り戻す。それが私がみんなに協力している本当の理由。一応はみんなを騙してた。ゴメン」


 俺の思った通りだ、この旅の目的は三上を倒すという一つだけじゃないんだな。それぞれ別々の思いを持って旅をしている。それが三上を倒すって事に繋がってるに過ぎないんだ。俺たちは成長しなければいけない。


 俺は今、心の中で思っていることがある。零羅と三上が闘っていた時からずっと感じているこの感情、認めたくないが、これは憧れだ。俺は三上に憧れてしまっている。あの強さに、俺はあいつを超えたいと、そう思っている。これは人間が持つ闘争本能と言うやつなのか?俺は、闘うなんてことが嫌いだ、傷つくし痛いし、だけど今は違う。あいつと、三上ともう一度闘いたい。強くなって今度は勝ちたい。ほんと...三上に感謝したい気分だ。あいつのおかげで、俺の目的も分かってきた。認めたくなかった俺自身が見えた。俺はあいつを超える為に旅を続ける。


 「よし!みんな、準備出来たら行くよ!レイラちゃんの怪我ももう治ってるみたいだし、それにこのゲームには時間制限があるんだから、ゆっくりも休んでいられないわ」


 俺たちは早速、荷物をまとめた。零羅の退院については病院側が上手くやってくれた。この世界の住人は俺たちの味方になってくれる人が多いみたいだ。俺たちは車に乗り込み、南へと走っていった。次の目的地は、南オーシャナ地区と言うところらしい。まるっと二日走れば着く距離だとか...また長いなぁ。 

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