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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!  作者: カップやきそば
第二章 この異世界より覚悟を決めて
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第2章 28話 下らぬ誤解は、新たな仲間の誕生

 「つまり、三上殿を倒せば、予言を覆せる。と言う事でござるな?その為に拙者達は戦うと...」


 麗沢は、こういうときだけ呑み込みが早い。


 「ものすごく簡略化すれば、そうなるね。三上君を倒すことが、この国の、いやこの世界を救う事に繋がる。私はそう考えている」


 「要するに、今は特に考えず突き進め!でいいんスか?」


 一瞬、沈黙が走った。


 「もっと簡略化すればそうなるね...今はゲームクリアが最優先と考えたほうがいいね。さて、暗い話はここまでだ。長旅で疲れているだろう?今日はゆっくりとこの家で休んでいってくれ」


 なんだか、話を切り上げられた?まぁいいか


 俺たちはひとりひとり別々の客室に案内された。どんだけ客室があるんだ?この家ホテルか?

 そんな疑問はどうでもよく、俺はベッドに座った。窓の外を見ると空がオレンジ色になり、太陽が大きく俺を照らした。俺は暇だったから外に出ようとして、扉に手をかけようとした瞬間だった。

 

 『バン!』


 扉が俺に向かった勢いよく開いた。俺は顔面をぶった。 


 「グハ!」


 「あ、ごめん。気付かなかった、ところであんたに少し用事があってきたんだけど」


 扉を勢い良く開けて入ってきたのは、エルメスだった。薙刀はしまってきたようだ。一応謝りはしたが、ここに立ってた俺が悪いといった感じだった。まぁここはこの人の家でもある、非があるのは俺の方か...と言うか何の用だ?


 エルメスは、普通に部屋に入り、椅子に腰かけた。


 「ねぇあんた、サクラ、だっけ?あんたはグレイシアの事どう思う?」


 突拍子もない質問に俺はどういっていいのか困った。


 「え?いや~綺麗な人だなぁって思ったスね」


 「はぁ...そういう意味じゃない。グレイシアは本当にレイの奴を裏切ってるのかって話」


 あぁ~そういう事ね。俺は納得した。だが


 「どういう事っスか?」


 質問の意味は分からなかった。


 「あ~もう!分からない奴ね!グレイシアには気をつけておいた方がいいって事!」


 「?...結局、どういう事っすか?」


 さすがにもうちょっと考えてから発言すべきと後悔した。


 「いい加減。理解しやがれーー!!」


 俺は、胸ぐら掴まれベッドに押し倒された。


 「あいつはレイの奴を愛してた。それが急に性格が変わったからって今になってなんで裏切った?おかしいだろ?私は、あいつが信用できない。あいつは絶対あんたたちを裏切るはずだ!」


 ようやく俺は、エルメスが何を言いたいのか理解できた。


 「グレイシアは、いつも何を考えてるのか分からない。世間一般じゃ唯一レイに物を言える人物だって言われてるけど、私にはそうは思えない、あいつは常にレイの為に行動する。現に、グレイシアの事を理解できる時は、レイの事について話しているときだけだった。それが、どうして裏切った?何か裏があるように感じてならないんだ私は」


 エルメスの言う事は、合ってるのでは?と思った。俺もそうだった、グレイシアは分かりにくい、常に無表情で、常に何かを考えている。だが、三上の話になると、急に分かりやすくなる。そうだ、今でもグレイシアは、もしかしたら、三上の為に動いているのかもしれない。だけど...

 「それでも、俺は彼女を信じたいッス」


 唐突な俺の言葉に、エルメスは、はぁ!?と言った顔をしてきた。上からこんな顔を向けられると、若干心が痛い。


 「俺も、エルメスさんと同じで、グレイシアさんは、もしかしたら何か、別の目的で動いてるんじゃないか?って思う事があるんス。でも、この前俺が、魔法の扱いが上手くいかなくて、立ち止まってた時にあの人は、俺を助けてくれたんス。俺の本気を引き出してくれたんス。あれは、本当に俺に強くなってほしいからだと思うんスよ。そうでなきゃ、あそこまで真剣にはなってくれない。俺は、あの時からもう迷ってないんス。グレイシアさんは、俺たちの仲間ッス」


 エルメスは、俺を掴む力を緩めた。その時だった。


 【ガチャン!】


 部屋の扉が少し勢いよく開けられた。


 「サクラ、少し話が......あっ...れ...?」


 入って来たのは、グレイシアだった。だが、彼女は扉を開けたままぼ~っとした。


 どうしたんだろう?そう思ったが、今の俺の状況を見たらだれでも固まるだろう、エルメスに馬乗りにされ、服を掴まれている。はたから見たら、とんでもない状況に見えないか?コレ?...


 「失礼いたしました、どうぞ、続きをなされてください?っていうべきなのですか?」


 突然敬語になって、グレイシアは、Uターンした。


 「ちょっ!!誤解だからグレイシア!これには訳が!!わっだー!」


 エルメスは誤解を解こうと、ベッドから飛び降りようとしたが、俺に躓いてスッ転んだ。顔面から行った。ベッドの上から地面に顔面か...痛そうだ。そういう彼女のあがきは空しく、グレイシアは、足早に去っていった。


 エルメスは、顔を上げた。顔が少し赤く、微妙に涙目だ。きっ!!と俺を睨んだ。俺は悪くない。


 「あんたのせいよっーーー!!あんたのせいで変な誤解が生まれたじゃない!」


 俺は、再び胸ぐらを両手で掴まれ、今度はめちゃくちゃゆすぶられた。頭がグワングワンする...俺が、何したっていうんだ?


 ギャーギャー騒がれた後、エルメスはどこかに行った、そういえばグレイシアは、俺に何の用だったんだ?


 俺も、廊下に出てウロウロとふらついた。それにしても広い家だな。俺は中庭がよく見える広間にたどり着いた。そこにある椅子に誰かが座って編み物をしていた。その座っていた人物は俺が歩いてくるのに気が付いたみたいだ。


 「おや、あなたがアレックスの言っていたお客さんかぃ。なんもなぃ所ですけど、ゆっくりなさって下さい」


 老婆、ではあるが物腰がすごく柔らかい。癒される感じの声だ。老婆はゆっくりと椅子から立ち上がった。

 「わたしは、エリザベート アダムスと申します。アレックスの妻です」

 俺はその老婆、エリザベートを見た時、あり得ないと感じた。そして思わず思ったことを口に出してしまった。


 「お...おばぁちゃん?」


 

 

 


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